登場人物

 

高崎 舞香さん…39歳 今回の主人公。

パート勤めをしており、

4歳の娘(日菜ちゃん)がいる。

相談相手は実のお姉さん。

 

 高崎 誠……40歳 舞香さんの夫。

ある日突然、好きな人がいるから

離婚したいと舞香さんに告げる。

相手は同じ部署の(藤沢美波)という女性。

 

 

 

 

電車の中で、自分にもたれかかる

日菜ちゃんの暖かさを感じながら

誠に対する気持ちは

どんどん冷えて行くのを感じる。

 

 

不倫を打ち明けられるまで

こんなことを言うタイプじゃなかった。

 

 

美波に洗脳されているのか?

 

 

 

電車が最寄駅に着いて

舞香さんが日菜ちゃんを起こす。

 

けれどまだ眠くて眠くて

なかなか目が開かない。

 

 

舞香さん

「日菜!起きなきゃっ」

 

 

「抱っこしていくよ。」

 

 

 

誠が日菜ちゃんを抱っこして

改札を抜ける。

 

 

 

「起こしたら可哀想だから

 このまま家まで抱っこするよ。」

 

 

 

舞香さん

「・・・・・・・」

 

 

 

こういうことは、自分には出来ない。

もう4歳の娘の体重を抱っこするのは

改札までが限度だ。

 

 

安心した顔で

誠に抱かれ、眠っている娘。

 

家に着くまで2人は、

一言も話さなかった。

 

 

 

 

 

部屋に入り、

日菜ちゃんをベッドに寝かせる。

 

夜、ちゃんと寝てもらうためには

こんな中途半端な時間に

お昼寝させるわけにもいかないが

 

時計を見ると、あと30分もしないで

姉が来る頃だとわかり

それじゃあ前半はむしろ

寝かせておいた方がいいかも、と思い

起こすのをやめた。

 

 

 

舞香さん

「お姉ちゃん、もう家出たかな。

 家出たよっていう

 連絡がないんだよね。」

 

 

 

ソファーでずっと

携帯をいじっている誠に言う。

 

もちろんこれは舞香さんのお姉さんが

携帯を忘れた風に装うための伏線だ。

 

 

 

「もう電車に乗ってるんじゃないか?

 乗ってから、寝ちゃったとか。」

 

 

 

 

舞香さん

「まぁそうだね。ひとまず

 来るっていう時間まであと30分だから

 すぐに食べれる準備にはしておく。」

 

 

 

「あぁ。腹減ったー。」

 

 

 

さっきまでの電車の言い合いは

なんだったんだと思うくらい

誠は普通に話しているが

舞香さんは変わらず、もやもやしている。

 

 

 

それからピッタリ20分後。

 

 

 

 

ピンポーン

 

 

 

 

舞香さん

「あっ、お姉ちゃんだ。」

 

 

 

 

それから、

家に入ってくる舞香さんの姉。

 

 

 

舞香さん

「あー、よかった。

 

 少し前に連絡したのに、

 既読にもならないから

 時間通りに来れるのかとか

 なんかあったのかって心配してたよ。」

 

 

 

舞香さんの姉

「ごめーん。もう駅まで着いてから

 携帯がないことに気づいてさぁ。」

 

 

 

舞香さん

「えっ、そうなの?携帯忘れたの?」

 

 

 

舞香さんの姉

「そーなんだよー!!

 取りに帰るのももう面倒だったし

 時間に遅れちゃうと思って

 そのまま来たんだけどさー

 

 やっぱ1人で電車乗って携帯がないって

 暇だなって思っちゃうね。

 依存症だわ〜。

 

 あ、誠くん久しぶり。」

 

 

 

「こんにちは〜。

 

 いやわかりますよ。

 僕も別に、何も用事なくても

 携帯触って、なんか動画とか

 見ちゃいますからね。

 

 携帯ないって、不安じゃないですか?」

 

 

 

 

舞香さんの姉

「そう、不安不安!でもまぁ

 デジタルデトックスだと思って

 景色見たりとか

 周りの人間観察しながらきたよ。」

 

 

 

よし、これだけやれば

ここから先の流れは

不自然にならずに済むだろう。

 

 

 

 

まずは、お鍋の時間。

 

 

舞香さんのお姉さんは

日菜ちゃんがいない間に

ジャブを打つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

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