登場人物
高崎 舞香さん…39歳 今回の主人公。
パート勤めをしており、
4歳の娘(日菜ちゃん)がいる。
相談相手は実のお姉さん。
高崎 誠……40歳 舞香さんの夫。
ある日突然、好きな人がいるから
離婚したいと舞香さんに告げる。
相手は同じ部署の(藤沢美波)という女性。
電車の中で、自分にもたれかかる
日菜ちゃんの暖かさを感じながら
誠に対する気持ちは
どんどん冷えて行くのを感じる。
不倫を打ち明けられるまで
こんなことを言うタイプじゃなかった。
美波に洗脳されているのか?
電車が最寄駅に着いて
舞香さんが日菜ちゃんを起こす。
けれどまだ眠くて眠くて
なかなか目が開かない。
舞香さん
「日菜!起きなきゃっ」
誠
「抱っこしていくよ。」
誠が日菜ちゃんを抱っこして
改札を抜ける。
誠
「起こしたら可哀想だから
このまま家まで抱っこするよ。」
舞香さん
「・・・・・・・」
こういうことは、自分には出来ない。
もう4歳の娘の体重を抱っこするのは
改札までが限度だ。
安心した顔で
誠に抱かれ、眠っている娘。
家に着くまで2人は、
一言も話さなかった。
◆
部屋に入り、
日菜ちゃんをベッドに寝かせる。
夜、ちゃんと寝てもらうためには
こんな中途半端な時間に
お昼寝させるわけにもいかないが
時計を見ると、あと30分もしないで
姉が来る頃だとわかり
それじゃあ前半はむしろ
寝かせておいた方がいいかも、と思い
起こすのをやめた。
舞香さん
「お姉ちゃん、もう家出たかな。
家出たよっていう
連絡がないんだよね。」
ソファーでずっと
携帯をいじっている誠に言う。
もちろんこれは舞香さんのお姉さんが
携帯を忘れた風に装うための伏線だ。
誠
「もう電車に乗ってるんじゃないか?
乗ってから、寝ちゃったとか。」
舞香さん
「まぁそうだね。ひとまず
来るっていう時間まであと30分だから
すぐに食べれる準備にはしておく。」
誠
「あぁ。腹減ったー。」
さっきまでの電車の言い合いは
なんだったんだと思うくらい
誠は普通に話しているが
舞香さんは変わらず、もやもやしている。
それからピッタリ20分後。
ピンポーン
舞香さん
「あっ、お姉ちゃんだ。」
それから、
家に入ってくる舞香さんの姉。
舞香さん
「あー、よかった。
少し前に連絡したのに、
既読にもならないから
時間通りに来れるのかとか
なんかあったのかって心配してたよ。」
舞香さんの姉
「ごめーん。もう駅まで着いてから
携帯がないことに気づいてさぁ。」
舞香さん
「えっ、そうなの?携帯忘れたの?」
舞香さんの姉
「そーなんだよー!!
取りに帰るのももう面倒だったし
時間に遅れちゃうと思って
そのまま来たんだけどさー
やっぱ1人で電車乗って携帯がないって
暇だなって思っちゃうね。
依存症だわ〜。
あ、誠くん久しぶり。」
誠
「こんにちは〜。
いやわかりますよ。
僕も別に、何も用事なくても
携帯触って、なんか動画とか
見ちゃいますからね。
携帯ないって、不安じゃないですか?」
舞香さんの姉
「そう、不安不安!でもまぁ
デジタルデトックスだと思って
景色見たりとか
周りの人間観察しながらきたよ。」
よし、これだけやれば
ここから先の流れは
不自然にならずに済むだろう。
まずは、お鍋の時間。
舞香さんのお姉さんは
日菜ちゃんがいない間に
ジャブを打つことにした。
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