恭介の姉

「それで明日香さんは結婚したら

 

 仕事したい派?

 専業主婦になりたい派?」

 

 

 

 

その質問の意図は分からないし

どっちを答えるのが正解なのかと

一瞬焦ったが

 

とにかく明日香さんは

質問に答えなければと

笑顔を作る。

 

 

 

 

明日香さん

「結婚したら、、そこは

 夫婦の問題になると思うので

 お相手としっかり

 話し合いたいとは思ってますが

 

 私は今の仕事が好きなので、

 出来る限り続けられたら、、

 とは思ってます。

 

 でもっ、家庭に入る選択肢も

 嫌とかではないです!」

 

 

 

 

明日香さんは、働くも働かないも

柔軟に考えています!

というところを伝えた。

 

 

 

 

恭介の姉

「なるほどー。

 

 家庭に入る選択肢もある・・

 

 ってことはあまり

 働くのは好きじゃないのかな?」

 

 

 

 

いや、さっき

 

今の仕事が好きなのでって

言いましたやん。

 

 

 

とは言えない。

 

 

 

 

 

 

明日香さん

「いえ、むしろ好きです。」

 

 

 

 

恭介の姉

「じゃあ本当は

 専業主婦になってって言われたら

 無理やり仕事辞めるってこと?」

 

 

 

 

なんか質問が全部、

何か意味を含んでいそうで

明日香さんは何をどう答えたらいいか

戸惑ってしまう。

 

 

 

 

 

恭介

「ちょっと姉さん。

 

 なんでそんな質問するの?

 明日香ちゃんは、

 どっちも柔軟に考えてるってことを

 言ってるわけだろ?

 

 臨機応変に対応出来るって

 素晴らしいことじゃないか。」

 

 

 

 

おぉ、助け舟助かる。

 

 

 

 

恭介の姉

「いやそりゃあそうだけど、

 どんな気持ちで

 仕事に向き合ってるのかなって

 思っただけだよー。

 

 なんかさ、私も仕事してるわけだから

 色々気になるのよ。

 

 時々いるでしょ。

 いつか結婚したら仕事辞めますって態度で

 勤務してる子が。

 

 結婚したら仕事から解放されて

 楽になるって思ってる子。」

 

 

 

 

明日香さん

「あぁ、それは、お姉さんの気持ち

 すごくわかります。

 

 そんな感じの雰囲気が出てる子とは

 正直一緒に仕事しづらいですよね。」

 

 

 

 

 

恭介の姉

「でしょっ!明日香さんわかってるわー。

 

 だから姉としてはさ、

 弟の奥さんになる人が

 仕事してても専業主婦でも 

 それはどっちでもいいんだけど

 

 家庭のことをサポートするためじゃなくて

 楽するためとか、

 仕事やりたくないからって

 それで弟のこと選ぶとか、嫌なわけよ。」

 

 

 

 

なるほど、そういうことなら

分からなくもな、、

 

 

 

恭介の姉

「前の彼女がさ、

 まさにそうだったじゃん!

 

 早く結婚して、可愛い子供産んで、

 可愛いママになりたーい

 みたいなさ。

 

 結婚も子供も、

 アクセサリーって感じだったのよ。」

 

 

 

 

 

恭介

「だから前の彼女の話は

 いいってば!」

 

 

 

 

 

明日香さん「……」

 

 

 

 

 

ひとまず明日香さんは

キョトンとしたり

笑顔を作ったりして見せる。

 

 

 

 

 

 

恭介の姉

「はいはい、わかったわかった。

 

 それで、明日香さんのところは

 ご両親は何されてるの?」

 

 

 

 

 

明日香さん

「えっと、、、母親は

 看護師をしていて

 

 父親はサラリーマンです。」

 

 

 

 

 

恭介の姉

「あらそう。お母さん

 手に職つけててすごいね。

 

 何科?」

 

 

 

 

 

明日香さん

「えっと、、大学病院の

 内科の外来です。」

 

 

 

 

 

恭介の姉

「なるほど、ICUとか、

 外科のオペ看とかじゃないんだ。

 

 内科かー。」

 

 

 

 

えっと。

 

 

 

えっと??

 

 

 

 

 

明日香さん

「あっ、はい、

 若い頃はICUにもいたんですが、、

 母親が数年前に

 ちょっと大病してしまって・・ 

 それで、、」

 

 

 

 

恭介

「そうなんだよ、お母さん大変で

 それを明日香ちゃんやお父さんが

 必死に看病したって話、

 最近俺も聞いてさ

 

 すごくみんなが家族想いっていうか

 いいご両親に

 育てられてるんだなって思うよ。」

 

 

 

 

 

恭介の姉

「フゥンー。なるほどー。

 

 恭介にとって明日香さんは

 非の打ちどころがない

 理想の人ってことなのね?」

 

 

 

 

恭介

「そうだね、そう思ってる。」

 

 

 

 

 

恭介の姉

「ふーん。」

 

 

 

 

 

 

それからもまだ、恭介の姉の質問は

止まらなかったが

この時の明日香さんは

 

(きっと大事な弟のことが

 とっても心配な、

 いいお姉さんなんだな)くらいにしか

思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー