シーズン3 登場人物

主人公 紀子(ノリコ)さん

…40歳の働く主婦。一人息子は高校生。

 美容オタクで、スタイルが良くて美人。

 料理はプロ級にうまい。

         

紀子の夫 マサル

…紀子さんの大学時代の先輩。

 都内で祖父の代から引き継いだ不動産会社を経営。

 スマートで男女問わずモテる。

 

紀子の親友 真子

…紀子とは高校時代からの親友。

 紀子たちの結婚式で健二に一目惚れされて結婚。

 娘が二人いる。

 

真子の夫 健二

…マサルと大学時代のサークル仲間。

普段はマサルとよくサーフィンに行っている。

 

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この車内には、

夫と親友と自分の3人。

 

 

そしてその夫と親友は

不倫をしているかもしれない。

 

 

そうだったとして

いつからなのか

どのくらいの関係性なのか

今は全くわからないが、

 

さっきから真子の質問が

どうしても引っかかる。

 

 

 

紀子さんは思った。

 

 

こんなこと

勝ち負けではないけれど

 

 

さっきまでは家で一人

泣いていたいと思っていたけれど

 

 

こんなにも

ケロッと生きている真子を前に

 

いつも通りの涼しい顔をしている

マサルを前に

 

どうして自分が

倒れないといけないのか。

 

 

そんなのだめだ。

 

 

 

マサルの携帯を見てしまってから

まだ半日も経っていない今

 

この先の展開はわからないし

どうしたいかも

何にも思い浮かばないけれど

 

紀子さんは携帯を開き

二人に気づかれないように

ボイスメモのスイッチを押した。

 

 

 

紀子さん

「ねぇ真子。

 

 そう言えばさ

 昨日の話の続きしようよ。」

 

 

 

真子

「昨日の話って?」

 

 

 

紀子さん

「なんか好きな人がいるんでしょ。

 健二さん以外で。」

 

 

 

真子

「ちょっとノリコ!

 なんでこんなところで!」

 

 

 

それはね。

 

 

こんなところだから

言うんですよ。

 

 

 

紀子さん

「こんなところって、

 マサルしかいないじゃない。

 

 大丈夫よ、

 マサル口硬いから。ねぇ。」

 

 

 

マサル

「なんだよ、急に。

 別に今

 そんな話することないだろう。」

 

 

 

紀子さん 

「だって健二さんも

 娘ちゃんたちにも

 絶対に聞かれない場所って

 こういう密室じゃない?

 

 さっき真子から

 マサルの過去の

 浮気の話も出たじゃない。

 

 マサルも含めて

 私たち付き合い長いんだから

 大丈夫でしょ?」

 

 

 

マサル

「…いや、俺が聞いても

 どうなるってことでもないし。」

 

 

 

真子

「いいよ。私の話は。」

 

 

 

紀子さん

「どうして?

 

 昨日はあんなに私に

 紀子は好きな人いないの?

 って聞いてたじゃない。

 

 ねぇマサル、どう思う?」

 

 

マサル

「何が?」

 

 

マサルの声が少し

苛立っていた。

 

 

紀子さん

「私も真子みたいに

 好きな人が出来たって言ったら。」

 

 

マサル

「そんなこと、ありえないだろ?」

 

 

紀子さん

「どうして?

 だって真子は現に

 好きな人出来たじゃない。

 

 

 真子、その好きな人って

 どこで知り合ったの?」

 

 

 

紀子さんは質問を

止める気などなかった。

 

 

 

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