シーズン3 登場人物
主人公 紀子さん
…40歳の働く主婦。一人息子は高校生。
美容オタクで、スタイルが良くて美人。
料理はプロ級にうまい。
紀子の夫 マサル
…紀子さんの大学時代の先輩。
都内で祖父の代から引き継いだ不動産会社を経営。
スマートで男女問わずモテる。
紀子の親友 真子
…紀子とは高校時代からの親友。
紀子たちの結婚式で健二に一目惚れされて結婚。
娘が二人いる。
真子の夫 健二
…マサルと大学時代のサークル仲間。
普段はマサルとよくサーフィンに行っている。
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紀子さん
「うそ…」
一瞬、何が何だかわからなかった。
手足が震える。
(待って…待ってよ…
何これ…何?)
息の仕方が分からない。
苦しい。
待って、苦しい。
夫の携帯の中に、
高校時代から
もう20年以上側にいたはずの
親友真子の名前がある。
高校3年間の青春時代も
マサルと付き合い始めた
大学生の頃も
仕事で辛かった時も
結婚式の時も
出産祝いの時も
子供のことで悩んだ時も
そのあとの家族旅行でも
全部一緒だった真子。
紀子さん
「なんで…なんでよ真子…」
真っ白いシーツに
涙がポタポタ溢れ落ちてくる。
真子のLINE
(もう私は
後戻りできないよ。
それくらい
マサルのことが好きになったの。)
このLINEが入っていたのは
今日の午後。
紀子さん
(真子…マサル…
何これ…
子供たちもいるのに
二人はここに来てまで
LINEしてたの?)
スクロールして、
会話の続きを見ようとしたけれど
そのLINEの前後には
何もなかった。
マサルはきっと
毎回LINEのやりとりを消して
これだけ消し忘れたのだろう。
心臓が、
バクバクと大きな音で鳴っている。
苦しい。
どうしよう、本当に息ができない。
紀子さんはよろよろと立ち上がり
それでも何かのためにと
震える手で
LINEのその画面を
自分の携帯カメラで撮影しておいた。
マサルの携帯をテーブルの上に戻すと
頭がぼんやりしたまま
ベッドに横になった。
隣のベッドで
マサルと息子が寝息を立てている。
横になると、
その滲んだ視界に息子の寝顔が見えて、
涙がまた
止めどなく溢れてきた。
紀子さん
(何…これは一体何?
現実?
……じゃあさっき真子が
好きな人がいるって言ったのは
マサルのこと?
いつから?
どうしてそんなことに…)
頭が混乱する。
わからない、全然わからない。
知りたいけど、知りたくない。
今、同じ屋根の下に
マサルも真子もいる。
二人を呼んで問いただしたい。
だけどマサルは酔い潰れて寝ている。
健二も何も知らないはずだ。
どうしたらいい?どうしたら…
結局紀子さんは朝まで
一睡も出来なかった。
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