ミキ本人です。

お昼の時間は私がお邪魔します。

 

今は、当時会社の部下だった

タクヤと出会いから

妊娠・結婚までを書いています。

 

今は妊娠後、会社の先輩

上司に報告をしている段階です。

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タクヤへの

女部長の愛の鞭は続く。

 

 

部長

「これまでミキが

 どれだけ努力をしてきて、

 今までの結果を出してきたか。

 

 これからさらにキャリアを積み上げて

 ステップアップしていくところを

 それが、妊娠となると

 身体や精神的な負担を抱えることになって

 産休と育休…

 

 タクヤは男だから

 今まで通り仕事は出来るけど、

 ミキはそうはいかないよね」

 

 

 

タクヤ

「はい…。

 おっしゃる通りです。」

 

 

 

 

部長

「タクヤがこれから、

 ミキと同じくらいに仕事をこなすには、

 今の実力ならタクヤが10人分必要で

 それでも足りないかもしれない。

 それだけの人材なんだよ。」

 

 

 

タクヤはひたすら

部長の話を真剣に聞いていた。

 

 

ただあとからわかる。

 

こんなに私のことを思って

タクヤのことを思って

真剣に話してくれた上司の話は

タクヤの心には届いていなかった。

 

 

 

 

タクヤ

「この会社でミキさんが

 本当に凄い人材だということは

 もちろんお付き合いする前から

 分かっていました。」

 

 

 

 

部長

「そう。そうなんだよ。

 

 

 ‥‥それでタクヤは、

 今いくつになるんだったっけ」

 

 

 

 

タクヤ

「26歳です。」

 

 

部長

「大川は?いくつだっけ??」

 

 

 

部長は急に、

隣にいた大川さんに話を振る。

 

 

 

 

大川

「え!僕ですか。

 29歳です、今年30歳です。」

 

 

 

 

部長

「タクヤ。大川もすごいんだよ。

 

 だけど30歳で

 やっとこの役職だよ。

 タクヤはまだ26歳でしょ。

 

 これからは

 周りの26歳と同じようには

 いかないってちゃんとわかってる?

 

 これから仕事を頑張りながら、

 妻と子を背負っていくんだよ。

 責任を持った言動を周りの同年代より

 しっかりしていかなきゃ

 いけないんだよ。

 

 タクヤはそれが出来るの??」

 

 

 

 

タクヤ

「もちろん、そのつもりです。

 そのためにまず仕事を頑張って

 ミキさんに追いつきます。」

 

 

 

部長

「それ、出来ると思う?

 相当なことだよ。

 甘くないんだよ。」

 

 

 

 

本当に、その通りだと思った。

 

 

部長の言い方は

文章で書くと、きつい人のように

聞こえてしまうかもしれないが

人望もあつく、本当に愛のある人だ。

 

その日はタクヤは

その部長からの愛の鞭をたっぷり受けて

それを聞いていた皆さんと大川は、

暖かい笑顔で見守ってくれていた。

 

しかし私は、気が気ではなかった。

 

 

 

自分のことながら

これまで本当に必死だった。

昼も夜もなかった。

 

そんなことが

このタクヤに出来るのか。

 

 

タクヤより私の方が

部長の言葉は堪えた。

 

 

 

 

・・なんて結局のところ、

タクヤは私を超えるどころか

並ぶこともなく、

あっという間に退職した。

 

それどころか結果的に

全ての人をがっかりさせた。

 

この時のタクヤの決意は

この場にいた全ての人に

嘘をついたことになった。