ミキ本人です。
今はタクヤとの出会いについて
振り返っています。
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私のお腹に、赤ちゃんがいる。
かなりの初期段階で分かったので、
本当に小さくてエコーで見ても
わからないほどだった。
けれどすぐに不思議な感覚になり
瞬間的に何にも変えられない
大きな存在
大切な存在になっていた。
さぁ、これから大変だ。
タクヤには妊娠した事を告げても
無理だと言うだろう。
私がこの子を産むことで、
すでに生まれた時から
父親が居ない人生を
送ることになるかもしれない。
それでも産みたい。
もう、私の子なのだ。
迷いなんかない。
私が、母親と父親の両方をやる。
経済的にも環境的にも
辛い想いは絶対させない。
この子は私が守る。
決意は固かった。
病院を出て、
感じたことのない幸せな気持ちと
不安な気持ちが同時に押し寄せる。
自分の両親とタクヤ。
報告は、どっちが先だろう…。
真っ先に頭に浮かんだのは、
両親の顔だった。
いやでも‥‥
タクヤにも知らせないまま
勝手に決断したことを親に話せば
相手はどこの誰だと
親が爆発してしまうかもしれない。
タクヤは断るだろうけれど
やはり先に
父親であるタクヤの結論を
聞いてからにしよう。
私はタクヤにLINEした。
ミキLINE
「今日、夕飯は外で食べない?
ちょっと話したいこともあって。」
タクヤからの返信はすぐだった。
タクヤLINE
「どした?何かあったの?
いいよ!外で食べよう!」
そしてその日は、
2人で家の近くの和食屋に入った。
タクヤ
「生ビールを2つで。」
いつものように
タクヤが注文しようとした。
ミキ
「あ、いや。今日は私は、
グレープフルーツジュースで
大丈夫だから。」
タクヤ
「え!どしたの?
体調悪いの?大丈夫!?」
タクヤの反応は無理もない。
毎日飲んでいた私が、
急にノンアルなんて。
めちゃくちゃ体調が悪いか…
そう、妊娠か。
タクヤ
「話ってどしたの?
なんかあった??」
‥‥
少しだけ間があって、
私は無言で
タクヤにエコー写真を差し出した。
ミキ
「…こういうことなの。
それでこういうとき
選択肢は3つなんだと思う。
①結婚
②シングルマザー
③諦める
この選択肢の中で、
③は絶対になくて
私は、産むってことは決めてるの。」
タクヤは、驚いた表情をして
動きが少し止まった。
そして、すぐ口を開いた。
タクヤ
「え、そんなの
結婚でしょ?」
ほぇ…。
え。
それは私が
想像していた回答ではなかった。
(いや、さすがに無理だよ。
俺、まだ25歳だし。
付き合って間もないし
契約社員だし。
それで子供って。
俺には無理だよ。)
私の頭の中のタクヤは
こう言っていた。
しかし、
タクヤ
「いや、なんか今日
話があるって言われて
頼むのノンアルでしょ。
それで、もしかしてって思ってて。」
ミキ
「いや、無理しなくていいよ。
私は産みたいから産むけど
無理に結婚したいとかじゃないの。
タクヤはまだ若いし。
私たち付き合って1ヶ月とかだし。」
タクヤ
「え?なんで?
結婚するよ!当たり前じゃん。
好きで付き合ってるんだから。」
シングルマザーの道を
決意していた私。
思いがけない展開に
驚いてしまった。