ミキ本人です。

 

結婚前はまさか

タクヤがモラハラDV夫だとは

思ってもみませんでした。

 

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お店の閉店間際。

 

 

タクヤ

「ミキさん。

 いつ応えてくれるんですか?

 僕は諦めてないし

 諦めませんからね!」

 

 

いや応えはもう、

最初から出てたよね。

 

 

何度も何度も、無理って言ってるよね。

 

 

私からは

仕事の話以外してなかったはず。

 

 

タクヤの告白に

曖昧な返事をして来たつもりなど

1度もなかったが

わからないなら改めて

はっきり断ろうと思った。

 

私は真剣な顔で

タクヤに差し向かった。

 

 

 

ミキ

「タクヤ、 何度も言ってるけどさ。

 本当に無理なんだよ。

 

 付き合うことはないよ。

 理由も、何度も話したよね?」

 

 

 

 

タクヤ

「納得いきません。

 ミキさんの断る理由には

 納得いきません!」

 

 

 

 

 

だーかーらー。

 

 

 

お前の納得どうこうじゃ

ないんだってば。

 

 

ちょっと私の返事を

再度読み直してよ。

 

100回くらい読みなおして。

 

 

 

 

ミキ

「無理なものは、無理。

 それにタクヤのその気持ちは、

 恋じゃないと思う。

 

 上司としての私に

 憧れてくれてるんだよ。

 

 錯覚だよ。錯覚!!」

 

 

 

タクヤ

「違います!好きなんです!

 

 ミキさんの事が

 本当に好きなんです!」

 

 

 

 

はぁ…。

なんかめんどくさくなってきた。

 

こんなやり取り、

これ以上続けても仕方がない。

 

 

 

 

ミキ

「とりあえずさ。

 お店も閉店だし、そろそろ出よう。

 遅いし、今日は帰ろう。」

 

 

 

 

 

タクヤ

「あ、はい!すみません!!

 つい…。今日は帰りましょう!」

 

 

 

 

ふぅ。眠いし、疲れたし。

 

本当に疲れた。

 

 

帰ろう。

 

 

 

 

 

タクヤ

「あ!ミキさん!

 僕、タクシー拾いますよ!」

 

 

外に出ると、

タクヤがすぐにタクシーを停めた。

 

なんだかちゃんと

後輩らしいことをしてくれている。

 

もしくは、ポイント稼ぎなのか。

 

 

 

ミキ

「ありがとねー。じゃあ頼むよ!」

 

 

 

 

ほどなくして、タクシーが捕まった。

 

 

 

 

タクヤ

「ミキさんどうぞ!

 乗ってください!!」

 

 

 

 

ミキ

「ありがとねー!

 じゃあまた明日会社で。」

 

 

 

 

タクヤにお礼を伝えて私は、

タクシーに乗った。

 

 

 

その次の瞬間。

 

タクヤが私を押しのけながら

半ば強引にタクシーに乗ってきた。

 

 

 

 

 

タクヤ

「運転手さん⚪︎⚪︎駅の方まで。」

 

 

その住所は、

私が住んでいる駅だった。

 

 

 

私はタクヤの言葉に驚く。

 

 

なんでうちの住所覚えてるの?

 

 

私の家は、確か週末飲んだ勢いで

よく部下が泊まりにきていた。

 

そのためタクヤも2、3度だけ

部下たちの集まりで

私の家に来たことがある。

 

それにしたって

住所を覚えていたなんて。

 

 

なんだか怖い。

 

 

ある意味すごい。

 

 

 

だけどもう走り出したタクシー

その場では無下に

タクシーから追い出すことも

出来なかった。

 

 

 

 

ミキ

「ねぇ、どういうこと?

 タクヤ今日、

 実家に帰るって言ってなかった?」

 

 

 

 

タクヤ

「何言ってるんですか。

 もう終電なんてないですし、

 それより僕たちの話が

 まだ終わってないじゃないですか!」

 

 

 

 

いや終電ないとか言ってなかったし。

タクシーで実家に帰れるでしょ。

 

 

 

 

 

タクヤ

「ミキさん、部下の面倒は

 とことんみてますよね。

 

 

 ミキさんもみるって

 断言しましたよね。

 僕は、部下でもありますよ!」

 

 

 

 

うん。言ったよ。

そう思ってるよ。

 

部下ならね。部下ならよ。

 

 

だけどこの場合、

面倒みるの中身が違う。

 

大幅にズレてる。

 

 

 

 

ミキ

「あのさ。面倒みる気持ちは確かだし

 実際ここ数年

 みんなにそうして来たよ。

 男女関係なくね。

 

 でも面倒の中身違うでしょ。

 

 なんで仕事以外で

 手厚くみなきゃあかんのよ!」

 

 

 

 

タクヤ

「今日、僕が彼氏になったら、

 仕事以外の付き合いになりますよね?

 恋人になったら

 別に家は行っても大丈夫ですよね?」

 

 

 

 

ミキ

「今日、はっきり断ったよね。

 恋人になってないし、

 今後もならん!無理!!」

 

 

 

 

タクヤ

「無理じゃないです!!」

 

 

 

なんだこのやりとり。

 

どうやったらわかってくれるの?

 

 

だけどダメだ。この流れに任せて

家に入れるなんて絶対に無理。

 

 

その気持ちだけは確かだ。

 

程なくして

自宅前にタクシーは着いた。