当時の私は、タクヤを含め

8人の部下がいた。
 
部下の抱え方や人数は
職種によって違うとは思うのだが
 
私の仕事は、営業として
自分の業績をあげるのは当たり前の中
部下の数字や原稿・同行全て
チェックしなければならなかった。
 
 
ただでさえ、
自身で抱える業務も過多の中
この人数を管理するのは
やはり結構きつかったなと
今振り返っても思う。
 
 
 
時間に追われる毎日。
 
 
だから夜になると
残ってる何人かの後輩や
他部署の先輩たちと
毎日のように集まり
 
食事をしたり飲みながら
仕事の戦略を練ったり
チームとしての士気を高めていた。
 
 
 
私の仕事は、
結構これが重要なのだ。
 
 
 
 
全力で仕事して
仕事終わりに生中ジョッキ。
 
大変だが、幸せな瞬間でもある。
 
 
 
私は本当に
仕事が、仲間が好きだった。
 
 
 
 
その頃、タクヤは憧れ?からか
私に対して慕しみを前面に出すので
その態度がわかりやすくて
どこか可愛いげがあるな、とは思っていた。
 
 
 
 
そんなある日
 
 
 
タクヤと
もう1人の後輩と3人で飲んでいた時、
急にタクヤが私に向かって
真剣な顔で話し始めた。
 
 
 
 
タクヤ
「ミキさん!ミキさんって
 来月から昇進するじゃないですか?」
 
 
 
ミキ
「え?あ、うん。そうだね。」
 
 
 
 
タクヤ
「だから僕も、
 ミキさん目指します!」
 
 
 
 
 
「へー、いいね!
 それは頑張って欲しいっ!
 
 全力でサポートするよ!!」
 
 
 
 
 
タクヤ
「はい!そしたら、
 ミキさん僕と付き合って
 
 
 
 結婚とかどーですか!?」
 
 
 
 
 
 
 
ん?
 
 
 
 
今なんと?
 
 
 
付き合う??
 
 
 
結婚??
 
 
 

 

まだ私のことを

何も知らない部下のタクヤ。

 

付き合ってもいない私に

何を言ってるんだ。

 

 

 

ミキ

「は?何言ってんの(笑)

 酔っ払ってるなぁー。」

 

 

 

 

タクヤ

「酔っ払ってないです!

 本気です!

 

 なんなら契約書書きます!

 それで信じてもらえますか?!」

 

 

 

 

契約書ってなんだ?

 

その前に、酔った勢いとはいえ

自分勝手に話を進めすぎじゃないか?

 

 

その日は

そんなタクヤをあしらいながら

結局仕事の話をしたりして

ほどなくして店を出た。

 

 

 

私はお酒に弱いわけではないが

ある程度飲むと

気分が良くなり陽気になる。

 

 

そこで、そんな私と

もう1人の男の後輩とで

 

 

 

ミキ「うぇーい!!」

 

 

 

 

陽気な私が発動したまま

ららら〜な気分で、肩を組んだ。

 

 

 

 

 

すると

 

 

 

 

タクヤ

「ミキさんと離れろ!!」

 

 

 

 

 

急にキレた。

 

いや、なぜあなたがキレる?

 

 

 

 

結局その日は

私は1人タクシーに乗って帰宅。

 

タクヤは

その後輩の家に泊まっていったらしい。

 

 

 

 

 

私は家に帰ると

少し酔っ払ってしまったこともあり

すぐに眠ってしまった。

 

 

 

 

翌朝、起きて携帯を見ると

タクヤからLINEがきていた。

 

 

 

 

タクヤ

「昨日はありがとうございました。

 楽しかったです!」

 

 

そういえば昨日

タクヤからからかわれたような。

 

 

まぁいいか。

お酒の席だったし。

 

 

私は後輩として

お礼の連絡を入れてきた

タクヤのLINEに少しホッとした。

 

 

 

 

ミキ

「全然!また飲もうね!」

 

 

 

 

するとタクヤから

すぐに返信があった。

 

 

 

 

タクヤ

「昨日のこと、ちゃんと覚えてます?

 僕、本気なんで!

 冗談じゃないですからね!」

 

 

 

え。なんだアレ本気だったの?

 

 

 

 

こいつ

年上の上司からかってんのかな。

 

 

 

 

ミキ

「え、なんのこと?

 まぁでもそのくらい本気で

 リーダー目指すってことね。

 頑張ってね!」

 

 

 

 

付き合うとか結婚とか

そのあたりのことはスルーした。

 

 

面倒だなとも思った。

 

 

 

 

後輩。部下。

それ以上の感情など、

この時は本当になかった。

 

 

社内で上司と部下が、

あーだこーだなんて

本当に面倒くさいことになってしまうし

噂にもなりたくない。

 

 

なによりも

私は歳下がタイプではなかったし

 

まず顔が好みじゃない。

(本当に本当に)

 

 

タクヤからはまた

すぐに返事が返ってきた。

 

 

 

 

タクヤ

「昨日告白したじゃないですか!

 あれ、本気です。

 流さないでください!」

 

 

 

本気って言われても

あんなところで、あんな流れで。

 

普通流すでしょう。

 

 

 

 

「本当に冗談はやめてー!

 

 私ね、もうこれからは

 結婚考える人じゃないと

 付き合う気はないの。

 

 タクヤのこと

 そう見れないのは分かってるでしょ笑」

 

 

 

 

それでもタクヤの押しは

どんどん強くなっていった。