ミキ本人です。
女にとって晴れの舞台の結婚式
私にとっては…
忌まわしい記憶となりました。
挙式・結婚パーティーをした
この頃のことを今思い返してみる。
タクヤに
私は逞しかった?
甘かった?麻痺してた?
いやもう色々と、
諦めていたのかもしれない。
もちろん常に怒りはあった。
本来なら、
怒り狂って、往復ビンタして、
蹴り飛ばしたい気持ちだが
もうそんなことすら
無駄だと思っていたし
子育てと仕事の合間に
1人で結婚式の準備なんて
それだけでもう十分
パンクしそうだったのに
タクヤの親やタクヤ自身のこと
お金のことなんて
ゆっくり考えたり
そこに体力を使っている暇なんて
全くなかった。
これが仕事なら
部下には怒る時間と体力使うより、
どんな言葉で、次に
どうしてあげれば良いか考えるのだが
タクヤは考えたところで
本人に何も伝わらないし、
響かない。
挙式を行なったその日
遠方から来てくれた私の両親は
そのままホテルに泊まったのだが
母はずっと心配してくれていた。
それが何よりありがたく
そして苦しかった。
私はこれまで自由に、気ままに
自分の想いを通して生きてきた。
あまりにも仕事ばかりする私を見て母は、
私が結婚をして
子供を授かるだなんて
夢にも思っていなかったかもしれない。
まさか父と一緒に
バージンロードを歩ける日がくるなんて。
どんな時も味方で
全力で支えてくれた私の両親。
私の花嫁姿。
私の最愛の娘。
もっとちゃんとした形で
もっと幸せそうな私を
見せてあげたかった。
情けない。
この歳になって
心配かけてしまった。
助けてもらってしまった。
本来なら私が
両親を支えてゆくべきなのに。
その日、
私の感情はぐちゃぐちゃだった。
でも。
浸ってる暇はない。
今をどうにかしないと。
翌日私は金融機関に電話をし、
足を運んだ。
結局タクヤは何もしなかった。
出来なかった。
来週は
友人たちを招待して行う
結婚パーティーが待っている。
この1週間はさらに
記憶にないくらい忙しかった。
自分がサイボーグかと思った。
ちなみに当たり前だが
挙式1ヶ月前に
声をかけられたタクヤの友人たちからは、
急すぎる。
その日は予定が既に入っている。
など
断りの返事しか来なかった。
だけど本当に大事な人たちなら
もっと前に声をかけているし
それより一生に一度のこと。
相手がタクヤを
本当に思う友人だったならば
きっと予定があったところで
変更して駆けつけてくれただろうけれど
タクヤには誰1人として
そんな友人はいなかった。
そんな中わたしは
タクヤの姉夫婦に声をかけた。
両親とは絶縁しているタクヤの姉。
兄弟といえど、姉はタクヤとも
ほとんど口を聞いていなかった。
なぜならタクヤの姉は
高校を卒業する頃、
今の旦那さんに救い出されて
両親の元から家を出たのだ。
2人は今結婚して
子供も生まれて幸せなのだそうだ。
お姉さんが家を出た時
その頃タクヤはまだ小学生。
タクヤは姉がなぜ
絶縁するほど親のことを嫌っているのか
全く知らなかったし
それを自分から聞くこともなかったようだ。
タクヤの父親は過去に
何度も浮気をしていた。
タクヤの母はその事実に苦しみ
アルコールに逃げ
喧嘩ばかりしていた。
子供のお金にも手をつけ
家庭を顧みなかった父親。
どんどんおかしくなってゆく母親。
高校生の姉は
それが耐えられなかったが
幼いタクヤは知らなかった。
タクヤの家庭の事情は
とても複雑だった。
たくさん浮気をして
母親を傷つけた父親。
まさかその息子も
同じことをするなんてね。
タクヤの人格が
なぜこうなってしまったのか
少しだけわかった気がした。