※スピンオフは、
ミキ本人の目線から見たお話です。
不倫相手の和歌子と電話で話したあと
急に家族3人で
引っ越したいというタクヤ。
意味がわからないが、
しばらくタクヤの
その茶番に付き合うために
演じようと決めた私。
その言葉を聞いてしばらくして
私は泣いた。
泣いてみた。
でも無理して泣いたわけじゃない。
演技だけど、演技じゃない。
もうここまでに精神的にも
経済的にも追い詰められていて
泣くのは簡単だった。
タクヤ
「ミキ!どした!?どしたの!?」
私はこれまでに
タクヤの前で泣くことは
あまりなかった。
どんなにひどいことをされても
泣きたくなかった。
焦るタクヤが
目の前でオロオロしている。
ミキ
「今日から、
あの子がいないと思うと辛くて…
1人残してきたことも辛くて…」
これは本当に本当に辛かった。
私の本心だ。
だからこの場ですぐに涙が出たのは、
女優を気取ったのではなく
1人の母の私の気持ちだった。
病室を離れる時
ずっと泣くのを我慢していたけれど
タクヤの意味不明な発言で
気が抜けた。
タクヤ
「ミキ!大丈夫だから!」
急に抱きしめてきたタクヤ。
なんだこれ?
こいつなんだ??
せっかく出ていた涙が
サーっと引っ込んだ。
タクヤ
「明日から毎朝、毎夕病院にいこう!
俺も仕事は早めに切り上げるから!!
な!そうしよう!!」
ねぇ、
そんなの当たり前なんだけど。
言われなくても行くんだけど。
和歌子と揉めてなかったら
行かないつもりだったの?
おーい、お花畑さん
切り替え早すぎないですか?
まぁ、不倫なんてそんなもん。
家事育児、お金まで嫁任せ
だから、出来ただけ。
喧嘩すると耐えられない。
簡単に別れられる。
なにこれ、
中学生の恋愛ごっこ?
いや、最近の中学生の方がもっと
現実的で賢いとさえ思う。
そして、娘の入院期間約1週間
タクヤと数年ぶりの
2人での生活が始まった。