​​登場人物

 

ミキ=私の後輩 33歳

広告代理店でトップの売上を上げるパワーウーマンだった。

後に夫となる後輩のタクヤに出会う。最初こそ幸せだったが

結婚後すぐにタクヤの借金・不倫が発覚しDV・嘘・モラハラが

加速してゆく。

 

タクヤ=ミキの夫 27歳

有名企業に勤めてはいるがその実態は・・

娘 =ちびミキちゃん 2歳

 

和歌子=タクヤの不倫相手 34歳

 

 

「ミキ、和歌子さんの

 電話番号を教えて。」

 

 

そう聞いた私のLINEに

ミキは私に何も聞かず、

即、電話番号を貼り付けてくれた。

 

 

 

電話番号を教える。

 

 

このことでもし

個人情報がなんとかかんとか的に

今後タクヤや

和歌子が訴えでもしてきたら

 

 

その時は、上等です。

 

 

戦います。

 

 

ミキを救うためにしたこの行為で

罰せられることがある世の中なら

それでもいいです。

 

 

ミキが助かるなら。

 

 

 

ミキ

「なんかごめんね。

 

 本当は、私が和歌子に

 電話するべきなんだと思う。

 

 言いたいことはたくさんあるし・・

 

 そもそもあの嘘つきタクヤのことを

 どれだけわかった上で

 付き合っているのか

 

 それを聞きたいよ。

 

 全てわかってて、

 それでもあんなのと付き合いたいのなら

 その時はのし付きで

 そのままどうぞと言いたいよ。」

 

 

「うん。そうだよね。」

 

 

ミキ

「だけど私が動けなかったのは

 

 もし和歌子が私の着信を見て

 その時は電話にも出なくて

 

 この電話なんだろうって

 その画面をタクヤに見せたりしたら

 その時タクヤは絶対に

 家で暴れると思う。

 

 

 また殴られるのかと思うと

 本当に怖い。

 

 私がどうっていうより

 

 娘の前でもう、

 あんなことされたくない。

 

 

 今でもあの時の、

 怯える娘の顔が

 脳裏に焼き付いてて…。」

 

 

「そうだね……そうだよね……。」

 

 

 

こんなことを聞いたら

やっぱり私が行動するしかない。

 

 

とはいえ

私は専門家ではない。

 

弁護士でもない。

 

 

ただの正義感だけで動いて

うまくいくのか。

 

考えなしに動く前に

詳しい人に判断を仰ぐべきなのか。

 

 

 

 

うーん。

 

 

 

と、

 

悩んだのは

10秒くらいだった。

 

 

 

だって私は、

タクヤなんて怖くない。

 

 

お化けなんて怖くない。

(はい?)

 

 

 

 

タクヤが暴れるのはミキの前だけ。

 

 

彼は本当は弱い。

 

激烈に弱い。

 

 

きっと私には

何も言えないだろう。

 

 

 

もうミキに手出しはさせない。

 

 

 

 

 

和歌子に電話をすると決めたその日、

 

一応暴れるかもしれないのならと

 

夫しかり、警察の知り合いしかり

ミキの男友達しかり

 

タクヤの苦手な

自分より強い男子数名に事前に話をし

スタンバイをしてもらった上で

 

私はミキに、筋書きを話した。

 

 

 

 

ミキ、あなたには

 

味方しかいないからね。