登場人物
ミキ=私の後輩 33歳
広告代理店でトップの売上を上げるパワーウーマンだった。
後に夫となる後輩のタクヤに出会う。最初こそ幸せだったが
結婚後すぐにタクヤの借金・不倫が発覚しDV・嘘・モラハラが
加速してゆく。
タクヤ=ミキの夫 27歳
有名企業に勤めてはいるがその実態は・・
娘 =ちびミキちゃん 2歳
和歌子=タクヤの不倫相手 34歳
やっと、やっとやっと、
重い腰を上げたタクヤ。
タクヤが準備をしている間に
チビミキちゃんはもう
夕飯も済ませていて
うちに着いた頃にはなんと
19時を過ぎていた。
夫とチビパンダと私。
朝から待ちくたびれて
玄関の扉を開けると
チビミキちゃんの笑顔が飛び込んできた。
子供同士がモジモジしていて
一瞬ほっこりした空気が流れた後
玄関先で私は
タクヤと目が合った。
タクヤ
「お久しぶりです。
今日はすみません。」
少しバツが悪そうな顔で
私と旦那を見た。
私
(うん、本当にそうね。
もっと謝って。
っていうか私
色々知ってるんだからねっ!)
というビームを
目から出しまくりつつ
目尻は下げつつ
私
「いーえ。チビパンダが
チビミキちゃんに会えるのを
楽しみにしてたんだよー。」
と、大人の対応をした。
何も知らないチビミキちゃんは
手を広げた私に飛び込んできてくれて
すぐに部屋の奥に走っていった。
ミキ
「ごめんね。
じゃあ話して来るから・・。」
私たちは目配せをして
無言のエールを送った。
それからミキとタクヤは
うちからすぐのカフェに向かった。
その間私は落ち着かなかった。
携帯は常にそばに置いていた。
呼ばれるかもしれない。
呼ばれないかもしれない。
話し合いはどうなっただろう。
結論は?落ち着いて話せた?
頭の中で、
いろんな想像が駆け巡る。
しかしそれから2時間後。
チャイムが鳴り、
そこにはミキが、1人で立っていた。
なんだか妙に、落ち着いている。
私
「‥‥あれ、タクヤは?」
ミキ
「下のロビーで
1人で待ってるって。
パンダさんと顔を合わせるのは
辛いって言ってたから。」
それからミキは
1人でうちにやってきて
ひとまず上がってもらった。
本当に、冷静だった。
ミキ
「下にタクヤがいるから
手短に話すね。
私ね。もう和歌子のこと
知ってるって言ったんだ。
パンダさんもその詳細
全て知ってるよ、とも言った。
子供の前だから
詳しいことは後で言うけど
多分私たち、
離婚する。」
私
「…それは…
そっか…そうなんだ…」
あまりにも
ミキの表情が変わらないので
私はどうリアクションすれば良いか
何が正解なのかは
その時わからなかった。
それからもミキは今までになく
しっかりした口調で話していた。
ミキ
「話し合いはお互い
落ち着いて出来たんだけどさ、
あいつの言い分が勝手すぎて
本当はとにかく今、
心底ムカついてるんだよ。
でもなんか
スッキリしたっていうのもある。」
私
「うん、そっか。
スッキリしたんだ。」
ミキ
「うん。した。
だからね、
それでもう・・・
これからは
遠慮しない。」
そう言って強い眼差しで
立ち上がった。
そっか。わかったよ。
うん、ついに決めたんだね。
じゃあさ、
ミキが遠慮しないならさ、
私もしない!