これからの物語の主人公

 

ミキ=私の後輩 33歳

広告代理店でトップの売上を上げるパワーウーマンだった。

後に夫となる後輩のタクヤに出会う。最初こそ幸せだったが

結婚後すぐにタクヤの借金・不倫が発覚しDV・嘘・モラハラが

加速してゆく。

 

タクヤ=ミキの夫 27歳

有名企業に勤めてはいるがその実態は・・

娘 =ちびミキちゃん 2歳

 

和歌子=タクヤの不倫相手 34歳

 

 

 

 

今夜もミキは

タクヤの携帯を開く。

 

 

 

タクヤは今年のお正月に  

自分宛に届いた 

年賀状の写真を撮影し

LINEで和歌子に送っていた。

 

 

 

しかしそこに書いてあるのは

引っ越す前の住所。

 

 

 

ミキとタクヤが暮らすマンションは

数ヶ月前に引っ越してきたばかり。

 

そのためいくつかの年賀状には

転送シールが貼ってある。

 

 

そのシールを丁寧に剥がすと

前の住所が掲載されていて

タクヤはそれを

写真に撮っていたのだ。

 

ミキはこの時意味もわからず

その撮影シーンを見ていたらしいが

なるほどね。

こういうことだったのか。

 

 

 

散々好きだと言いながらも

家には絶対に入れてくれないタクヤを

不審に思っていた和歌子。

 

 

それを怪しんで、

タクヤに証拠を見せてと

迫ったのだろう。

 

 

都内で一人暮らしをしているという

そんな男がもし

部屋に入れてくれないなんて

そんなことを言う場合の99%は

奥さんか、同棲中の彼女がいる。

 

 

大体間違いない。

 

 

 

だって

「君のことがめっちゃ好きや!

 部屋には入れないけど。

 土日会えないけど。」

 

って、不自然すぎる。

 

 

 

34歳の和歌子はこの半年間

そこをずっと

不審に思ってきたのだろう。

 

 

 

 

年賀状の写真を送ったタクヤに

一旦その事はスルーして

 

 

 

和歌子LINE

「ねぇ、今の部屋の写真を

 写メして送ってよ。」

 

 

 

 

そう返してきた。

 

 

和歌子はやはりどこか

不満げで疑心暗鬼だ。

 

 

 

 

タクヤLINE

「散らかってるから

 全体をうつすのは

 恥ずかしいけどな。

 

 

 こんな感じ。殺風景だろ?」

 

   

 

タクヤは一枚の写真を送った。

 

 

そこには

前に住んでいたマンションの

リビングが写っていたのだが

 

部屋の端にある

テレビとテーブルに

ズームインしていているだけ。

 

もっと広いのに、

テレビ周辺だけの写真。

 

そのテレビ画面には

ゴルフのシーンが映っている。

  

 

 

えっと。

 

殺風景だろ?って

テレビメインの写真を

撮影しただけやん。

 

 

 

それなら

「こんな感じ。テレビだろ?」

 

 

って言いなされ。

テレビの感想、聞きなされ。

 

あー、おっきいねとか。

 

 

あー、黒いね。とかさ。

 

 

 

 

和歌子にだって

この違和感は伝わっている。

 

 

 

和歌子LINE

「ん?今こんな番組やってる?

 何チャンネル?」

 

 

 

タクヤLINE

「あー、録画だよ。

 今ちょうど見てたんだ」

 

 

 

和歌子LINE

「どうして録画シーンなの?

 すでになんかモヤモヤするよ。

 

 リアルタイムで

 今の写真送ってよ。

 

 そうじゃないと今

 その部屋にいるかどうか、

 わからないじゃない。」

 

 


和歌子は確実に苛立っていた。

 

 

 

でも、ちょっと思う。

 

 

和歌子、鋭いぞ。

 

グッジョブよ。