タクヤには
仕事に情熱を燃やすミキ。
彼女は誰より友人が多いけれど
誰より孤独だったと思う。
自分のポジションが
上がれば上がるほど、
その実感は強くなる。
自社の利益はもちろんだけど、
どうやったら
取引先の売上も上がるのか
皆が笑顔になれる結果を得られるのか。
後輩の面倒もみなければいけないし
朝も夜も人のことばかり考えて
仕事かプライベートかの
区別もつけられない
そんながむしゃらな時代。
ミキ
「役職があるって、孤独だよね。
それなりの報酬をもらうってことは
得るものと同時に、
失うものもあるのかな。」
別の場所で働く私たちは
深夜に時々
そういうLINEを送っては
励まし合あってきた。
働く女性たちはふと、
自分の立場を振り返る時がある。
周りはどんどん結婚してゆく。
それが全てだなんて思ってないし
今の仕事や自分の生き方には、
プライドを持っている。
でも
20代を全力で走り抜けて
30代でも第一線といわれる場所にいて
頑張って報われたとしても
これが一体なんになるのか。
そんな風に思うと
虚しくなる時もある。
時々息切れしたり、
立ち止まりたくなる。
だけどそれを、周りは許さない。
いや、自分が許さない。
一体自分はいつまで
頑張り続けたらいいんだろう
って思いながら。
そんな女性の孤独を
ミキの心の内を
タクヤは知っていたかな。
「ミキを超えたい」
簡単に口にするけど、
それだけの苦労や努力を
あなたは実行して来ましたか?
ずーっと走り続けてきたミキ。
そんな彼女のお腹に
命が授かった。
その時ミキは言った。
ミキ
「仕事をがむしゃらに頑張って
頑張って頑張って、
成果を上げて、評価もされて
だけどそれでも、
どうしても埋められなかった穴が
今やっと、埋まった気がした。」
ねぇタクヤ
それが、ちびミキちゃんと
あなたという、家族だったんだよ。
夫婦は戦わなくても、超えなくても、
その存在が暖かければ
幸せだったのに。