娘ちゃんが入院した日の夜。

 

自宅に戻った

ミキから電話がかかって来た。

 

娘ちゃんが誕生してから初めて、

別々の夜を過ごすミキ。

 

寂しくて耐えられない。

かわいそうで仕方がない。

 

私たち夫婦のせいで

実はずっとストレスを

与えてしまっていたのではないか。

 

ミキはずっと自分を責めていた。

 

しかし今回の病気は

誰にでも起こりうる病気。

 

 

 

私電話

「ちびミキちゃんは

 元々熱を出しやすかったでしょ。

 

 だからそれはたまたまだから

 ミキがこれ以上抱える必要ない。」

 

 

 

ミキ電話

「そうだけど・・でも・・

 

 病院で・・

 ちゃんと寝れてるかな・・

 

 寂しくないかな・・」

 

 

 

私電話

「そうだよね・・心配だよね。

 

 でもさ、20時までは一緒にいて

 21時には寝ちゃうんでしょ。

 

 夜は看護師さんが

 そばにいてくれるんでしょ?

 

 1人ぼっちの

 お部屋じゃないんでしょ?

 

 それなら大丈夫だから。^^

 

 ミキもちゃんと寝ないと

 ママが倒れたら意味がないよ。」

 

 

 

ミキ電話

「うん・・そうだよね」

 

 

 

私電話

「そうだよ!

 

 ・・それはそうと・・

 今日タクヤは?」

 

 

 

 

色々あって忘れそうだったが、

 

不倫の証拠を見つけて以来

ミキとタクヤが会ったのは

病室で顔を合わせた今日が

最初だった。

 

 

 

まだ自分の不倫が

バレているなんてことは

 

何も知らないタクヤ

気まずい訳ではないだろう。

 

 

 

ミキ電話

「さぁ、今日1日、

 病院にはいたけどね・・

 

 でも帰りに一緒に

 夕飯の買い物だけは行って

 そのあと、

 (出てくる)って言われたまま

 帰って来てない。」

 

 

 

私電話

「えっ。じゃあ今いないの?」

 

 

 

ミキ電話

「うん。でも

 ちびミキのこと以外あんまり

 会話してないし、

 

 この休日でのこと聞いたって

 どうせ嘘だけだろうし

 正直今日はもう

 帰って来てほしくないかな。

 

 まだ証拠を突きつける気ないから

 それ以外に

 何話したらいいか分からないの」

 

 

 

私電話

「そっか・・

 まぁそりゃそうなんだろうけ・・」

 

 

 

 

突然、電話が切れた。

 

 

 

 

あぁきっと

タクヤが帰って来たんだろう。

 

 

 

 

それは

その通りだった。

 

 

 

それからすぐに

ミキからLINEが入った。

 

 

 

 

ミキLINE

「さっきは突然

 電話切ったりしてごめん!!

 

 急に玄関が開いた音がしたから

 びっくりして切っちゃったの。

 

 タクヤが帰って来た。

 

 それで

 (パンダさんが娘のこと心配して

  電話くれてたの)って

 

 咄嗟に言っちゃった。」

 

 

 

私LINE

「うん、帰って来たんだろうなって

 すぐわかったから大丈夫。

 

 でも今は?

 LINEしてて平気なの?」

 

 

 

 

ミキLINE

「平気。なんか帰って来てすぐに

 ベランダに行った。

 

 電話してるみたいだけど

 和歌子だろうね。」

 

 

 

 

ミキはかなり

冷静な様子だった。