警察沙汰になったミキたち夫婦は

その後またすぐに

一緒に暮らすようになった。

 

 

なってしまった。

 

 

 

 

タクヤは深夜に帰り

ミキはなるべく顔を合わせないよう

言葉を交わさないように

していたようだが

 

 

それだって結局は、

同じ屋根の下。

 

 

 

 

当然私は反対した。

 

 

ミキは

「次あんなことがあったら、

 即離婚だから」

 

 

 

と言っていたが

 

 

いや今回のことがすでに

「次」というやつだったんじゃないの?

 

 

 

という気持ちが

私の中からは消えない。

 

 

 

 

ちなみに

義母に今回のことを知らせたら

離婚しないで欲しいと

連絡が来たらしいが、

 

 

もしこの時義母が

「離婚してもいいですよ」

と言っても

 

別れなかったのではと私は思う。

 

 

 

 

勿論その気持ち、わかるんだけど、

わかりたくないよ。

 

男女には色々あるけど

夫婦には色々あるけど

 

だって、暴力だよ?

たった1回だってダメなんだよ?

 

許してはいけないんだよ?

 

娘ちゃんに今後

なにかあったらどうする?

 

あなたに

なにかあったらどうする?

 

どうしてそいつと

これから先も笑いあえるというの?

 

 

これまでお金のことだけでも、

十分心配だった。

 

けれどこれはまた次元が違うんだよ。

 

そんなやつの、

何を信じているの?

 

 

 

 

なんて

 

 

 

 

 

 

こんなこと

言われなくたって

ミキが一番よくわかっている。

 

 

 

 

だから

 

 

 

わかっていないのは私だった。

 

 

 

 

 

 

私はこの時

本当に無知だった。

 

 

 

今ならわかる。

 

 

 

このミキの行動や思考こそが

DVを受けている女性そのもの。

 

 

暴力をふるう男は

精神的にも

言葉でも相手を傷つける。

 

それなのにミキはいつも

タクヤを庇い

守り続けていたじゃないか。

 

 

どうして

気づいてあげられなかったんだろう。

 

 

 

 

 

私はどうしてこの時力づくで

ミキをここから

連れ出してあげなかったんだろう。

 

 

 

 

 

どうして早く彼女を

 

 

 

抱きしめてあげなかったんだろう。