さてさて、このブログも15回目❗❗
ちょっとは頭に入ってきたどころか、わからない事だらけで焦ってます。
やはり、毎日コツコツやらないとダメですね。
苦手ですがw
お互いに頑張って合格目指しましょう❗
いつもお読み頂きありがとうございます。
飽き性の私が何とか続けられているのも、感想やら色々メッセ頂けるからです✨
ありがとうございます😀
今後ともドシドシお待ちしております!
また、間違っていたら是非教えて下さい💦
さて、またまた、ウイスキーコニサープロフェッショナル資格試験より製造の問題。
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【問】
アロスパス式連続式蒸留機の
抽出塔について、
その原理や目的を答えよ
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ポットスチル(単式蒸留器)は、その美しさから、写真などがバーに飾られていたりもするので皆様もよくご存知かと思います。
しかしながら、連続式蒸留機??
「?」で頭がいっぱいになってませんか?
今回は、このちょっと影の薄い、脇役になりがちな連続式蒸留機をみていこうと思います!
ポイント!
・原料の風味をあまり残さずに、効率的に高濃度のアルコールを抽出することができる
・単式蒸留”器”は「器」具であるが、連続式蒸留”機”は「機械」である。
これは、家内手工業から工場制機械工業に移り変わった産業革命の時代(19世紀)に発明されたため
・発酵モロミを連続的に投入して蒸留を行い、同時に留液を連続的に得る
・大量の原料を効率よく処理できるので、ウイスキー産業に大きく貢献している
連続式蒸留機とは
連続式蒸留機とは、発酵モロミを連続的に投入させ、同時に留液を連続的に得る蒸留装置です。
アナログな単式蒸留とは異なり、一回蒸留機を動かすだけで、アルコール度数90%前後の液体を抽出する事ができます。
蒸留機は内部に十数段から数十段の棚段を持つ高い塔状の装置で、稼働中は各棚でアルコールの精留が繰り返されます。
また、任意の棚から留液を取り出せる構造をもつため、望む酒質やアルコール度数の留液を得る事が可能です。
多種の原料に対応ができ、効率的で時間と手間がかからないので、大量生産に向ています。
竹鶴政孝がボーネス蒸留所より学び、拘ったカフェ式蒸留機
(宮城蒸留所)
もろみ塔と精溜塔の2塔式。1963年、グラスゴーのブレアー社製
42段(精留塔)、24段(もろみ塔)。高さは11m。
アルコール10%くらいが3時間後に95%くらいに。
単式蒸留器で作られる酒
- モルトウイスキー
- テキーラ
- コニャック(ブランデー)
- 芋、麦、米などの本格焼酎
- 泡盛
- ジン(※)
- 一部のラム
連続式蒸留機で作られる酒
- バーボン・ウイスキー(※1)
- グレーン・ウイスキー
- アルマニャック(ブランデー)
- ウォッカ(※1)
- 一部のラム
- 甲類焼酎
- ニュートラル・スピリッツ(※2)
※1. 単式蒸留を使用する場合もあります。
※2. ニュートラル・スピリッツとはジンやリキュールなどのベースとなるお酒。
連続式蒸留機の仕組み
連続式蒸留機の内部では、連続的にモロミが投入され、何度も何度も自動的に蒸留が行われています。
どういった仕組みでそうなっているのか?
もう少し詳しくみていきましょう!
連続式蒸留機の仕組み
連続式蒸留機を、簡単に言えばその中に単式蒸留器がたくさん入っていて、自動的に蒸留を繰り返す機械。
つまり、連続式蒸留機の内部で単式蒸留が繰り返されているのです。
《詳しい工程》
①蒸気はアナライザーの下から吹き上げられ、上から流れ落ちてくる熱せられたモロミと出合う。
熱いアルコール蒸気はアナライザーを(粗留塔)の上からレクティファイアー(精留塔)の底へと流れる。
レクティファイアーは穴のあいてる板で水平に仕切られており、その穴を通って蒸気が上昇する。
②下から吹き上げる蒸気によってアルコールが分離される。
いわば、棚一段一段、穴の一つずつが単式蒸留器と同じ役目を果たす事になる。
さらにアルコールを含んだ蒸気はスチル上部の冷却装置で分離と濃縮が繰り返され、アルコール純度を高める事ができるようになっている。
途中で蒸気はアナライザーに送られる低温のモロミの入っているパイプを温める。
このパイプは反対に蒸気を冷やし凝縮させる。
③レクティファイアーの塔頂近くでアルコールを取り出す。
残ったものの中で一番軽い蒸気は塔頂から出てゆき、その残り(ほとんど水とフーゼル油)は底に落ち、そこから放出される。
現在の連続式蒸留機 略図
1830年のカフェーの特許出願届に添付された連続蒸溜機の図面。醪塔と精溜塔は当初この図のように1本の塔の上下に配置されていた。
言葉ではよくわかりづらいかもしれません。
蒸留について、こちらの動画で紹介されてます。わかりやすいので、ご覧ください。
関連記事
連続式蒸留の主な蒸留塔の種類
【モロミ塔(粗留塔)】
高沸点成分の分離、モロミ不揮発性物質を塔底から取り出す
【抽出塔】
加水し、アルコール度数を下げることで低沸点、疎水成分を分離する
【精留塔】
中沸点成分を分離。アルコールを濃縮する
メタノール、低沸点成分の分離。ウイスキーを取り出す。
キルベガン蒸留所(アイルランド):カフェ式連続式蒸留機
連続式蒸留機の移り変わり
蒸留技術は、錬金術師達によって様々に工夫され、中世のアラブからヨーロッパ世界において広がっていきました。
そして、16世紀後半以降には単式蒸留器から還流や分縮の機能を持ったものへと進歩して行きました。
また蒸留酒に対する課税がなされるようになると、収税規定に対して効率の良い生産ができるように、容量や形状が一層工夫されるようになりました。
そこから連続式蒸留機は発明されたのです。
この項では歴史について詳しくみていきましょう!
連続式蒸留機の歴史
1826年、スコットランドで、蒸留業界をリードするヘイグ、スタイン両家の一員であるロバート・スタインが連続式蒸留機を発明しました。
これは、高アルコール度の蒸留液を大量に処理できるもので、キャメロンブリッジ蒸留所や、ロンドンのジン市場向け製造にも用いられました。
その後、イーニアス・コフィーにより、改良され、さらに効率よくアルコールを抽出できるようになります。
彼は、元々、アイルランドの酒税の税務官や取締官でした。
当時アイルランドでは小型の蒸留釜は全て禁止、密造の取締まりは事の外厳しく、又取締まりへの反抗も凄まじいものだったようです。
ある時、コフィーはある地区の密造摘発に兵隊の護衛を受けながら出かけました。
そこで、地元民に包囲されて武器は収奪、滅多打ちにされて瀕死の重傷を負ってしまうのです。
このままではいけないと、1824年に間税局を辞し、今度は蒸留業者へ転向。ダブリンのDock Distilleryを経営する傍ら連続式蒸留機の研究を行い、改良しました。
具体的には、それまで1塔だったのを後留、精留の2塔構成に改良。
これは、アイルランドにおける14年間の特許(=パテント)が認められ、ローランドのグレーン業者などで使用され始めました。
その後、アメリカなどに広がっていき、コフィー(カフェ)スチル、またはパテントスチルと呼ばれています。
この偉大な発明品ですが、アイルランドではピュアポットスチルの伝統ある製法が主流であったために、導入に積極的な業者はあまりいませんでした。
一方で、スコットランド・ローランドではグレーンウイスキー業者などが多く採用。
これが後々明暗を分けます。
他、ハイランド地方の生産者は連続式蒸留機を採用せず、従来通り大麦麦芽を原料とし、単式蒸留器を使って蒸留する製法を維持しました。
そして1853年、エジンバラの酒商アンドリュー・アッシャーが、熟成年が異なるウイスキーを混ぜ合わせることを考案。
その後1860年に、それまで異なるウイスキーを混合させてはならないと定めていた法律が改正され、保税貯蔵庫内であれば混合してもよくなり、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混合したブレンデッドウイスキーが誕生しました!
ブレンデッドウイスキーの祖 アンドリュー・アッシャー・2世
それから1870年代から1880年代にかけ、ヨーロッパではフランスのブドウがフィロキセラと呼ばれる虫によって壊滅的な被害を受けます。
ブドウを原料とするワインとブランデーを作る事ができなくなりました。
これにとって代わるように、ブレンデッドウイスキーはロンドンの上流・中産階級に飲まれるようになり、さらにそれは、イギリス帝国全域に普及。
このように、連続式蒸留機の発明と導入は、それまでアイルランドが優位にあったウイスキー業界をスコッチに形勢逆転させたのです。
連続式蒸留機のタイプと変遷
現在使用されているウイスキーの連続式蒸留機はイーニアス・コフィーが特許を取得した「パテントスチル」が一番近いでしょう。
しかし、連続式蒸留機の研究はもっと前から行われていました。
1800年代初頭から、ピストリウス、エドワールアダム、セレアブリュメンタールなどにより多くの発明や改良が行われています。
これらの研究開発がロバート・スタインの連続式蒸留機を生んだのでした。
現在、アルコール製造における連続式蒸留機は、モロミ塔、抽出塔、精留塔、など最低4塔を備えた蒸留プラントで構成されています。
そして、発展を続け、今や連続式蒸留機自体、アメリカを中心に酒だけではなく、石油産業において欠く事のできない技術にまでなっていったのです。
アロスパス式蒸留機
さて、問題文にあるアロスパス式蒸留機までやっと辿り着きました。
これは、フランスのメル社が開発したアロスパス抽出塔を特徴とした連続式蒸留器です。
詳しくみていきましょう!
アロスパス式蒸留機
通常の蒸留では不純物のフーゼル油はアルコールと共に共沸してしまいます。
よって、精製塔と分縮の棚を増やしただけでは分離できず、純粋なエチルアルコールは得られません。
そこで、フーゼル油は水に溶けない性質を利用して、濃縮したアルコールに熱水を加えて不純物層を取り除く方法を思いつきました。
具体的には、モロミ塔で得られたアルコール度数約60%の留液に熱水を加えて10%程度にするのです。
これを、加水抽出蒸留と言います。
これにより、従来の連続式蒸留機より遥かに純度の高いエチルアルコールを得る事ができるようになりました。
アロスパス式連続式蒸留機は、1950年代に日本に導入。
しかし、メル社はワイン粕から回収されるグレープスピリッツを対象に装置を作ったので、デンプンなどの穀物を扱えるように改良が必要でした。
その後、1955年頃、改良されたスーパーアロスパス式が導入され始め、現在までほぼグレーン蒸留はこれでされています。
アロスパス式蒸留機 知多蒸留所
アロスパス式 知多蒸留所
地元、知多市にある知多蒸留所。
知多蒸留所は1972年にサントリーと全農(全国農業共同組合)が半々に出資してつくられた施設です。
翌73年からグレーンウイスキーの生産を始めています。
元々2セットの巨大なアロスパス式連続蒸留機が設置されているが、現在グレーン用に使っているのは、主にそのうちの4塔(もろみ塔、抽出塔、精留塔、精製塔だ)
もろみ塔はステンレス製のシーブトレイ、精留塔は銅製のバブルキャップ。合計90段の棚がある巨大装置です。
グレーンの原料はトウモロコシと大麦麦芽のみで、小麦などは使っていません。
造られるグレーンのタイプはライト、ミディアム、ヘビーの主に3タイプ。
4塔のうち、すべてを使えばクリーンになり、3塔ならばミディアム、2塔ならヘビーになるといった具合にコントロールされています。
このグレーン原酒の作り分けは、世界でも類を見ません。
またそれらは、同じ原料、同じ蒸溜所のグレーンウイスキーとは思えないくらい、風味が違うそうです。
あの食中酒にもオススメできるぐらい口当たりの良い知多ウイスキーは、こうして出来上がっていくのです。
如何でしたか?
長くなりましたが、以上の事より、まとめて回答します!
*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*
【回答】
モロミ塔で得られた度数約60%の
留液に熱水を加え10%程度にする。
これによりフーゼルなどの疎水成分を
分離し純度の高いアルコールを
得るのが目的である。
*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*
やっぱり、今回も難しいですね。
言えるのは、エキスパートの問題が基礎になっているということ。
エキスパートの時にもう少し深掘りして勉強すべきでした。
どうぞ参考にしてみてください!