第一印象・・・うるさそう、めんどくさそう、苦手。

僕の彼女に対する印象は最悪なものだった。だけど僕はポーカーフェイスを貫き、目の前の彼女に悟られないようにした。

「あの、いいですか?」

髪が肩くらいまである彼女が言う。

「総務部の人じゃないですよね?他の部署の方ですか?」

「総務部です」

僕の頭の上に?が何個か浮かんだ。

「え?僕総務部なんですけど見たことないですよ?」

もしかして不審者なんじゃないかと疑ってしまう・・・。もう少し話を聞こうとすると

「今年新しく入社しました」笑顔で彼女が言う。

今度はさっきよりも多くの?が頭の上に浮かぶ・・・。

「新入社員?・・・あれ今入社式のはずじゃあ」

「あれ入社式ってここでやるんじゃあ?」

「いやいや、入社式は市の会館のほうですよ?しかももう時間過ぎてるし・・・」

「うそ!?じゃあ私どうすればいいですかね」

今にも泣きだしそうな顔をしだしたのでさすがの僕も焦ってしまう。

「とにかく行きましょう、部長に相談してみますから」

「ありがとうございます」

くそ・・・もうめんどくさいな。顔には出していないけど、内心はそう思っていいる。段ボールを両手に抱え、隣に泣きかけの顔をしている女性を連れオフィスへ。

 

 

オフィスにて

入口付近でまず会ったのは、不運にも木村だった。

「松、お前なに女性泣かせてんの?」

「俺が泣かせたんじゃないよ」

木村を軽くあしらって奥へ

「浦川さん、部長今いますか?」

「どうしたの…ってこちらは?」

「新入社員の…えーと名前なんだっけ」 

「さ、齋藤です」

「入社式の場所ここだと思ってたらしいです、なんとかありますか?」 

「んー部長に相談してみようか、はいこれ使って」

そういって浦川さんが齋藤さんにハンカチを手渡した。こういうのを大人の女性って言うんだろうなと僕は思った。

そして僕と齋藤さんは部長室へ向かった。

部長室の前に立ち、ドアをノックする。中から「どうぞ」と渋い声が聞こえた。

「失礼します、部長少し相談が」

「松原君が相談とは珍しい、でこちらの方は?」

「新入社員の齋藤さんなんですが、入社式の場所ここだと思ってたらしくて」

「申し訳ありません!」

深々と彼女が頭を下げる。

(一般常識はあるみたいだな)と少し失礼な事を考えてしまう。

「どうしようか、入社式はもう終わってしまうからな。仕方ない、もうここにいてもらおうか。私の方から連絡をしておこう。」

部長の前橋さんはとても紳士な方で頭の回転も早いから僕の尊敬する人の1人だ。

「ありがとうございます。」

また頭を下げる齋藤さん。

「君ももう社会人なんだからもうこういう事はないようにね」

「はい、気をつけます。」

ようやくこの騒動は一件落着となった。