重度の知的障害を持つ少年と地下鉄に乗った時のこと。

彼はすぐに座り込んだり飛び跳ねたりするので、混んだ車内では支えるのに両手で抱えていた。

彼の肩越しに、ドア横に立っている女性が見えた。

僕の母より高齢に見えたので多分八十代半ばくらいか。少し疲れた様子に見えた。

車内に空いている座席はなかった。

若い人たちもたくさん座っている。

「誰か譲ってあげたらいのにな」と周囲を眺めてたら、向かい側のシートに座っていた小学校四年生位の小柄な少年がスッと立ち上がった。

「良かったら座ってください」と先ほどの女性に向かってとても丁寧に声をかけた。

ものすごく紳士的でかっこよかった。

思わず見惚れた。

彼がふとこちらを見て目があった。
思わずニヤッと笑ったらはずかしそうに微笑んで立ち去っていった。

かっこええやんか。

持って生まれたものか、ご家族のしつけか、それとも教育か。

とても素敵なものをもらった気がして気持ちよかった。

ありがとう。





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