気分が落ちたり…不安で眠れないなど

気分が落ちたり、漠然とした不安感を抱いていたり、寝ても疲労が抜けなかったり、食欲をコントロールできなくて食べ過ぎたり、香辛料や甘いものを常に欲していたり、ぐっすり眠れなかったり、手足が冷えたり…身体に何らかの症状がある場合は、無自覚の内に心的外傷後ストレス障害=つまり(PTSD)を発症している可能性もあります。


PTSDと聞くと、兵士が戦闘現場での強烈な体験が戦後も長く続き、その時の悪夢に日常的に悩まされて生活もままならず、酒やドラッグに依存してしまう帰還兵が思い浮かびます。けれど
このPTSD=トラウマの原因になる元の出来事は約63万通りもあります。


実は公にならないだけで多くの人が、簡単に知らず知らずの無意識の内にPTSDの症状に苦しんでいます。




  PTSDは危険を知らせる体からのサイン


話は過去に遡ります。私たち人間の祖先は、地球で起こる凡ゆる天変地異などからサバイバルして生き残るために、心身共に危険や異常事態を感知する能力を発達させてきました。


結果として私たちの脳は常に


・何か変わったことが起こっていないか?

・危険はないか?


と、周囲の環境に注意を払うという仕事をわしています。これは人間の本能に近い自己防衛のメカニズムです。この脳の機能は、自分の命が置かれた危険な状況に応じて、その場から逃げるか、それとも戦うか、などを選択してサバイバルして生き延びてきたことから「闘争・逃走反応」とも呼ばれています。



  外からの刺激によって自然と感じてしまう人の心と体

外からの刺激によって自然と感じてしまう人の心と体は、PTSD=トラウマのような強烈な経験をすると、脳と体の神経細胞に、この時に感じた怖れや不安、肉体的な痛みさえも記憶に残ってしまいます。それは消え無いまま、その体験がテープレコーダーのリピートの様に何かのキッカケで全身にフラッシュバックして鮮明に記憶がよみがえり感じてしまいます。これは自分では、どうすることもできないので身動きが取れない状態に追い込まれていってしまうのです。


そうなると、このトラウマを経験した後、体の緊急アラームのスイッチが常に作動しているような状態になりやすく、目に映るすべてに対し緊急事態のように過剰に反応してしまいます。それは何でもないような些細なことにさえパニックを起こしてしまうのです。




  トラウマを経験した後に起こる4つの反応パターン


1: 闘争する……トラウマに反撃して抵抗する。強がる。強くなる為のトレーニングに没頭する。ナルシシズムに陥ることもある。

2: 逃走する……トラウマから逃げる。現実逃避する。アルコールやドラッグに依存する。強迫性障害を起こす可能性もある。

3: 凍り付く……自らの感覚を鈍らせ、痛みを感じないようにする。何でもない平気を装う。解離性障害になることもある。

4: 媚びへつらう……虐待してきた親や恐怖など、トラウマ的な経験の原因となった人物に従ったり、機嫌を取ろうとしたり、好きになる。これは相手との共依存につながる恐れがある。



トラウマとひとえに言っても、その言葉の重さやイメージ、定義は、人によって異なります。あなたにとっては耐えがたいことだとしても他人にとってはそれほどではない場合があるのです。


多くの専門家によれば、トラウマの定義とは、命の危険にさらされ死の恐怖を感じさせ、自分の無力感を感じたり、安心安全を感じられないような恐怖でいっぱいになるような経験だとしています。




【トラウマになるような経験の例】


愛する人(ペットも含む)の突然の死 /自分や両親、愛する人の離婚 /親の病気や介護 /身体的、精神的な虐待、育児放棄 /大病・事故 /命の危険にさらされる出来事 /難産 /経済的困窮 /いじめ、モラハラ・パワハラ言葉 /友達との絶交 /失業 /暴動、公序を乱す行動 /虐待的な関係 /自然災害・被災、地震など、神を信じられなくなる・信仰の喪失 /手術 /中絶 /法的な問題 /収監 /戦争や兵役 /家事・家を失う・引っ越し /犯罪の被害者になる /暴力を振るわれる、あるいは暴力を目撃する(テレビのニュースで見る場合も含む) /あなたの安全を脅かし、予測を裏切るものすべて…etc


トラウマの経験が多ければ多いほど、またその衝撃が大きいほど、危険を事前に察知して回避しようと用心深くなっていきます。命の安全を確保するために、人の脳には、異常事態を感知するための機能がありますが、そこが常にスイッチが入った状態になってしまいます。


こうなると人は常に不安で神経過敏になり、起きてもいない次のトラウマが起きる前提で備えるように過敏症になります。危険なことが今にも迫っていると思い込み、日常的なことに集中するのが難しくなります。


この不安な状態が続くと、神経系や免疫系システムが蝕まれ、幸福感を感じられなくなってきます。最悪を予期してばかりなので無意識にその手の事が目に映り、それを引き寄せたり、自ら生み出すことさえあります。


当然トラウマを経験した人は、経験していない人よりもストレスに対して過敏であるという研究結果もあります。




【トラウマ経験がある人の陥りやすい状態】


・ 他の人にとって何でもないことが、本人には重大なことに感じられる。人と違う自分が可笑しいと罪悪感を持つ。

・ パニックや激しい怒り、キレる、恐れや不安など、心身共に強い反応を示す。

・ 危険を回避する脳内のシステムが常に厳重警戒レベルにセットされている。


  人間なら誰しもが注意しておくとよい事

トラウマを経験したほとんどの人が


「そんなたいしたことではなかった

私は強いから大丈夫だ」


と言います。


このように過小評価することもPTSDの症状のひとつです。


人は自分の問題に気づかないで他人事と感じていることの方がほとんどです。


ですから注意してチェックしておく事として、自分で想像できる事や頭で考えつく事を当てにしない事が大切です。頭の中で考えつく事より大切なのは…


体の反応を

信頼する事です。


あなたの心と頭は多少の無理も平気で誤魔化してしまいますが、体は誤魔化せないのです。




【体からのストレスサイン】


不眠、全身倦怠感、暴飲暴食、動悸、発汗、めまい、呼吸困難、喉のつまり、手の震え、胸の違和感、胃痛、便秘、下痢、肩こり、腰痛、頭痛、目の奥の痛み、顔面のひきつけ、女性ならPMS


などです。これら体からのサインがあったら、平気なようでも実はキャパ越えして頑張っているのかもしれないな、と立ち止まって体を休めたりしてみる事や、あなたの胸のうちを吐き出し聞いて寄り添ってくれる人に頼ることをオススメします。


また、こんな時代だからこそ、些細な事でも、たとえ多和いない事でも人と話ができると、それは他人であっても救われる事はあります。


信号待ちですれ違うだけの人とでさえ、目が合って微笑むと微笑み返されたり、近所のスーパーやコンビニのレジでアナタから定員さんに「たかが、ありがとう」を伝えるだけで、殺伐として働いていた定員さんの1日はかけがえのない贈りものになる事もあります。


優しい人ほど自分を後回しにしたり
譲ったり我慢したりして
心や頭は平気で本心を偽ってしまいます。

けれども体は正直です。
自分ではなかなかコントロール出来ないところだからこそ、無理をしたらそのツケや代償は必ず後で払う事になります。

頭ではもうちょっと頑張れる、大丈夫!
そう思っても「体の反応や体からのサインを優先的にチェックして」セルフケアしましょう。

 
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