音楽をしているとたびたびされる質問がある。




「ルーツは?」



これにはいつもどう答えるべきか、少しだけど悩む。


初めて買ったCDは、杏(女優)のカバーアルバム。

歌声を気に入ったのと、カバー曲の内容がとても素晴らしかったから。


このCDは今でもよく聴いている。



それから、学生時代に最も再生していたのはYUI。

当時の全アルバムをTSUTAYAから借りてダビングしていた。

学校から帰ったら制服を脱ぐより先に、サンタさんに貰ったCDラジカセにセットしていたし、

登校中も下校中も、ウォークマンから1番たくさん流れていた。


YUIのライブにいつか行くのが人生の目標のひとつだったけど、学生のうちに叶わず、YUIは歌わなくなってしまった。


YUIの合間に、高橋優、クリープハイプ、aiko、サンボマスター、ウルフルズ、ONEOKROCK。


ONEOKROCKは高校生の時、好きな男の子が聴いていたのでCDを借りて聴いていた。

彼もYUIを私から借りて聴いてくれた。

付き合わなかった。(想いも伝えられなかったし)



ここまでをルーツというのだろうか…?



大人になってからは、川本真琴にドハマリして、できる限り、ライブに行った。今も。


これまで色んなライブに行ったけど、登場だけで涙が止まらなくなるのはかわまこだけ。

歌わなくとも、もうそこに居るということに感動してしまう。これは「推し」というやつだと思う。

席もS席を迷わず選ぶ。かわまこのおかげで私の立ちたいライブハウスはビルボードになった。



ここまでをルーツというのだろうか…??



自分で音楽をするようになって、色んな先輩や対バンのみんなのCDを買ったり、貰ったりした。

めちゃくちゃ再生しているものも、1度聴いたきりのものもある。


ライブはふらっと予定が空いたら行くくらい、身近なものになっていった。



ここは、ルーツではないのかもしれない…???


でも歌い方や作り方、考え方、ライブの仕方。それは少しずつみんなから影響や刺激を受けてきた。



じゃあやっぱりここもルーツというのか…????




「どこまで」がよく分からず、ルーツを答えられない。




そんな中で、先日実家に行った時、カーペンターズの話になった。

よく家で流れていたよね。と。



そしたら父がガサゴソと、押し入れから、当時よくかけていたCDたちを出してきた。


あー!みたことある。

流してみたら、音を全部覚えていた。



そっか、これは自分で選んで聴いていた音楽ではないから、アーティストも曲名も分かっていなくて、ルーツを聞かれた時に思い浮かばなかったけれど。



これはルーツというのかも。潜在的な。





ルーツは何と、ハッキリ答えられるほど、たぶん音楽を出し切っていないのかもしれない。



「自分の音楽の方向性が決まらないんです。」


と、相談をしたことがあった。


「まだまだ始めたばかりなんだから、自分の得意や好きはもっと色んな種類を作ってから選べばいい。

それば自分で決めるかもしれないし、お客さんからの反応で決まるかもしれない。」



そんなふうにアドバイスをもらって、しっくり来て、方向性とかを考えなくなった。


早いうちから、「らしさ」「ぽさ」を確立出来ていて、それを軸に音楽を作れるライバルを、羨ましいと思っていたけれど



確かに私はまだ自分から出し切ってないだろうし、だからまだ出会えても無いかもしれないし、

そのうち勝手に定まっていくかもしれないし。



今出したルーツかもしれない音楽たちにも、共通点が見つけられない。



まだ今あげてないだけの、ルーツがあるかもしれない。




何でも作れたらいいな。




「ルーツは?」



「たくさん。」




ーーーーー