語頭音素[- C]でCVVCがさらに進化する話 | チラシの裏 ~UTAU調声メモ~

チラシの裏 ~UTAU調声メモ~

UTAUの調声の話を中心に、初心者向けの使い方からうまく歌わせるコツ・ニッチなネタまで、独断と偏見で書いています。

初稿:2024年2月

 

 

OpenUtauのコミュニティでおもしろい話がありまして。いわく、語頭音素 [- C]に対応してくれないか、と。

これがなかなか画期的なやつだったので説明します。

 

 

まずは原初のれんたんじゅつの話をせねばなるまい

れんたんじゅつとは、「さーさー」って言ったときの

1回目の「さ」と2回目の「さ」って違うよね、という理論をベースに作られた単独音っぽいやつ。

1回目のやつはフレーズ頭で使える音で、[無音-子音-母音]の組み合わせ。つまり[- CV]。

多くの単独音や、連続音に入っている[- さ]などもそう。

 

2回目のやつはフレーズの途中で使える音で、連続発声の中の[子音-母音]の部分。つまり[CV]。

CVVCの「CV」とはこれを指すことが多い。

 

 

メロディ(フレーズ)の頭に持ってくるには[- CV]の方が違和感がなくて、フレーズの途中で使うなら[CV]の方がなめらかに繋がる。

これを両パターン用意した単独音が「れんたんじゅつ」であり、

のちに「れんたん風単独音(連続発声する単独音リスト)」や「eve式2モーラCVVCリスト」などに派生していくわけだがそれはおいといて。

 

 

「CVVC音源フレーズ頭問題」の闇

個人的にずっと気になってたこととして、CVVCが普及したのはいいがCVをフレーズの頭で使うと音びみょいよね、というのがある。

そう、ぱっつんになってしまうのである。

頭がぱっつんしてしまうと、「し」が「ち」に聴こえたりする。

 

もちろん解決策がないわけではない。ぱっつんになるならエンベロープをフェードインにすればいいじゃなーい!

実装してもらった。

 

のちに自分でも実装した。

 

のだが、「CVVCを使うときはエンベロープの頭を削ってね!」はそこまで普及してるとは言いがたい。

なにより、presampやOpenUtauなら何もしなくても単独音みたいに扱えるよ!難しくないよ!をウリにしたいので余計な操作は必要ないほうがいい。

 

 

語尾音源があるんだから語頭音源もあっていいじゃん?

そこで[- C]の出番なのです!

 

CVVCにはフレーズ途中用しかない、かといって[- CV]を50音全部録るのはやってらんねえので、

頭の子音だけ用意して [- C][CV] という感じで繋ぐ。

理論上は[a R]の前後逆バージョンです。

↑[- sh]がある方は入りが自然だが、右はぱっつんになっている

 

OpenUtauは自動連続音化・自動CVVC化なので、使うときの手間は一切増えない。

(ベータ版のみ対応中)

 

原音設定としては、たとえば「さすぃすせそさんさ」なら頭の「さ」を使って[- s]を作ります。

リストによりますが追加収録はいらない場合が多いかと。

子音単体(「s~~」みたいなやつ)があるならそれも流用できるかもしれない。

雰囲気が合えば・・・

 

カ行、タ行などの破裂音は作る必要なし。

ダ行とかガ行は原音の発音によるので、必要そうなら作るぐらいでいいんじゃないかな。

 

使う範囲(左~右ブランク)は子音全体を、タイミング(先行発声)は子音の頭に置きます。

オーバーラップは関係ないので適当でok。

 

問題は子音部(伸縮範囲)なのですが、いや、どうしようねこれ。

そもそも伸縮してほしくないし、どうせ[- C]の長さはCVの子音の半分ぐらいの長さになるはずなので伸びることないじゃろ、と仮定して右に寄せるか。

 

いやいや、もし伸ばすことになったらなるべく伸縮範囲長めにとっとかないと音ヤバいことになるやろがい、ということで左に寄せるか。

 

どうせ頭のちょびっとしか鳴らさないんだから後ろなんてどうでもいいじゃろがい!ということで

子音全体を包んだら右ブランクが母音にかかっちゃうストロングスタイルも。

↑この流派、CVVC界隈にマジで存在します。主に海外勢?

※伸縮範囲がゼロになるとエンジン落ちるのである程度の幅は確保すること

 

色々やってみるといいと思います。