この年の迷子座の公演は、『大野城市民話』ではなく、パンフレットで座長も述べているように、旗揚げ公演以来地域に密着した劇団であることを活動の根底に据え、大野城市に残る民話故事に題材を求めてまいりましたが、大方の民話は上演致しましたので、この年の公演は創作民話劇の公演に至りました。
舞台設定など大変苦労も伴いました。
本公演にア立ち、ご後援していただいた団体も数多くありました。
再度、ここに御礼を申し上げます。
平成19年度市民劇団迷子座本公演『おこん清松』
平成19年8月26日(日)14時~
大野城まどかぴあ大ホールにて
◆◇◆◇◆あらすじ◇◆◇◆◇
清松は村でも有名な親孝行息子。薪を山に取りに行った際、怪我を負ったキツネに遭遇し、助けます。キツネは猟師によって足に傷を負いました。猟師は仕留めたと思ったのにその姿はどこにもありません。猟師は清松に尋ねます。「キツネを見なかったか?」清松は答えます。「さぁ、気づかなかったなぁ」・・・本当は後ろにそのキツネを隠していたのですが・・・、猟師は気付かす、里には降りないだろうって事で、山の中へ入っていきます。それを見届けた清松はキツネを山へ帰したのでした。
それから一年ほどたったある日、清松は塩や乾物(かんぶつ)、糸などを町に買い出しに行きました。久しぶりの町行きだったので帰りが遅くなり、山道を通る頃には日も暮れはじめたいた、その時、山賊に襲われてしまいます。
村人のための買いだしだったので、必死に荷物を守ろうとする清松。しかし相手は山賊3人組。勝てる見込みがありません。そんな時、多数の狐の眼が闇に光り、唸るような狐の声が聞こえ風が吹きます。戸惑う山賊たち。すると白装束がすっと現れたのです。白装束に襲いかかろうとした山賊。しかし急に白装束の姿が大きくなり、驚いた山賊たちは逃げてしまいます。
清松は意識不明になってしまいました。
そこに通りかかった巡礼中の「こん」という女性に清松は助けられます。大きな怪我をおった清松を家に送り届け、献身的な介護をするこんと清松の間には愛が芽生え、二人は世帯を持ち、娘「りん」が生まれます。
何不自由なく暮らしていたある日、のどかなお昼時。
りんは近所の少年「竹松」と山へ出かけます。
清松は薪を取りに山へ行っています。
家には清松の母とこん、そして竹松の母の3人がお茶をしていました。
そんな時、急に大きな声を出してこんが家を飛び出します。
しばらくすると、りんが泣きじゃくりながら家へ帰ってきます。
「竹ちゃんが・・・落てた・・・」
うまく状況の説明できないりん。
そんな時、竹松をおぶった清松とこんが戻ってきます。
竹松はりんのために、グベ(当時薬草として用いられていた)を取ろうと崖の下へ手を伸ばした時に落っこちてしまったのです。
運よくねんざだけで済んだのですが、もし発見が遅かったらどうなっていたか・・・。
こんには、昔から『第六感』のようなものがあるようで、以前にも同じように命拾いした人が村中にいたそうです。
ある時、りんが6つになったとき、医者が見放す大病を患ってしまいます。
しかしこんの必死の看病により、りんは一命を取り留めたのでした。
ところが、りんの命を救うためにこんは『人』として生きることを許されない運命となってしまったのです。
・・・そうです、こんは、あの時、清松が助けたキツネだったのです。
大明神様に御礼を申し上げるこん。しかし、大明神様はこんとこのような約束をしていました。
『瀕死のこん(キツネ)を助けてくれたお礼に、山賊に襲われ瀕死になった清松を助けたいという申し出に、情けで人間の女性になる術を授けた。しかし事もあろうに、人間の子を宿してしまった。どんなものも生命は尊きもの・・・こんを許し、りんが成長し7年の月日、人間として生きてもよい』と・・・。
しかしりんが大病を患った時、こんは再び大明神様に願ったのです。
『七日七夜の祈りでりんの命を長らえる代わりに、元の狐の姿に戻る』と約束したのです。
こんは願います。あと1年。りんが七つになるまで・・・。見届けたい。
見届けたい・・・。
しかし、大明神様はこんを許しませんでした。
掟を破ったこん。
大明神様はこんに選択肢を与えます。
・狐に戻り、りんの成長していく様を見届けるか
・りんの目の前に狐の亡き骸をさらしてみせるか
こんは前者を選びます。
『恋しくば たずね来てみよ 筑紫なる 三奈木の杜の 恨み葛の葉』
井戸端の木に短冊と昔清松が足に巻いてくれた布きれをかけこんは杜へ戻りました。
こんの姿がないことに気づいた清松。
そして井戸端の木にかかった布きれと短冊を読み、はっとする清松。
清松は決めます。
そして、こんを探し求め、りんと二人、旅立つことにしました。
こんが残した、書き置きをたよりに・・・。
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観客は600名を超え、私語もなく咳(シワブキ)一つなかったのは、お客様を引き込むことができたからだと、わたくしたち自身、実感いたしました。
~以下、ブログ担当者の個人的総評です~
昨今、親が子を殺す・子が親を殺す・・・そんな事件が増えています。
当り前のように起きていて、そのニュースを聞くたびに、「あぁ、またか」と、驚きの感情がなくなってきた現代の世の中。本当に怖いと思います。少し前までは「えぇ?!親が子を?!/子が親を殺す??!なんてとんでもない!!!」と言う感情だったのが鈍ってきたのでしょう・・・。自分自身がとても悲しく感じました。
しかし、この作品に参加し、劇団員・後援の方と共に作り上げていく上で、『家族の愛情』をひしひしと感じました。そして、自分の家族に対する態度も少し変わったと思います。
この公演をご覧になったお客様にも『家族の愛』についてたくさんのお声をいただきました。でてくるお客様をお見送りすt\るときには涙して動けなかったというお言葉も頂きました。
今後も、自分たちだけが満足するお芝居ではなく、お客様の心に響く作品をお届けできるよう、頑張ってまいりますので、応援のほど、よろしくお願いいたします。