金の酒杯 | その女、マイコにつき。

金の酒杯


今日は母のことを少し書いたので、
その父、実家の近くに1人暮らしをしている祖父のことをまた少し書こうと思います。

もう80ちかくになる祖父は、今、社交ダンスに夢中です。
自分で山へ猟にも行くし、生け花の師範代も持っています。

身長は今でも180近くあるし、若いころは大工&建築士としてわりとガッポリ建設して
当時、頭は辮髪、
今でいうTATOOが背中やら腕やらにたくさんはいっています。

ポパイとか薔薇とか、おばあちゃん以外の女性の名前のTATOOもはいっています。

よく2人がそのことで喧嘩しているのを見て、幼心に祖父の「若気のいたり」というものを
本能で感じていたのを思い出します。


さて、お正月に旦那を連れてそのおじいちゃんのところへ遊びに行ってきました。

紺色のバスローブ姿で迎えてくれた祖父は元気で、以前とちっとも変わりないようでした。

久々の再会を、旦那との出会いを喜んでくれ、たくさん話をした後に
お土産を持って帰りなさい、と自分で獲った鹿肉を手渡してくれた後、
応接間に通されました。


「ほれ。」

おもむろに突き出すその先に、私が小さいころから飾ってあった日本刀がありました。

本物です。


私「じいちゃん、さすがにそれは・・」

じ「じゃあ、これ持っていけ。箱もつけるぞ。」

私「じいちゃん、そんな対で飾ってる大皿の片方なんて悪くてもってけないよ。」

じ「そうか・・。これなら小さいぞ。」


祖父の手のひらには金の酒杯がありました。

私は黙ってそれを受け取りました。

おじいちゃんの気持ちを有難く受け取ることにしたのです。

邪念など、ありません。

ありませんから、絶対。


それから帰り際、玄関ではなんか化石だかヒスイだかの大きな石も手渡されましたが
それ持って新幹線で帰れねえ、かといって実家に置いても帰れねえ。

悩んだ挙句、「予約」して帰りました。


祖父の気持ちを全部受け取れなかったのはちょっと寂しい気もするけど
また岡山へ帰ったら、すぐに会いに行こうと思います。

思い出したら、なんかちょっとほっこりしてきました。