G.ガルシア.マルケス




題名からしてミステリーコーナーに置かれていたのだろう、いつものようにミステリーを物色していたら、偶然見つけた。
なぜ、ガルシア.マルケスがここに?
ガルシア.マルケスと言えば実は、「百年の孤独」を途中挫折している、そんなことで、一瞬迷ったのだが購入した。


読み直すと言う事は、普段あまりしないのだが、この作品に限っては、読み終えたら直ぐに最初から読み直した。

面白かったというのではなく、素晴らしかったというのでもなく、捉えようのない魅力をこの作品に感じたのだ。



ストーリーは別段なんてことはなく単純である。

結婚式が終わったその夜、花嫁は処女でなかったため家に戻される。花嫁の兄弟の双子は、名誉のため花嫁の処女を犯した相手を、周りの人々に予告しつつ殺す。

この事件を、花嫁のいとこが23年後に周りの人々の話を聞きながら語っていくのがこの作品だ。



殺される青年、花嫁、花婿、殺人を犯す双子、その他取り巻く人々の立場から複層的に、かつ現在、過去の時制を考慮しながら配置され、作品を構成していく。

作品の中には無駄な文章、語句は全く見当たらず、最小限のせりふ、情景描写、心情描写だが、完璧に事実を浮かび上がらせ、読者に印象を与えていく。


これは、作家の計算しつくした技術なのだろうか。思わず賞賛したくなるのだ。



ただ、自分がこの作品を読む上で、ガルシア.マルケスという作家のネームバリュー、ノーベル文学賞というフィルターを掛けて見てはいないかと言う疑念はある。

名も知らぬ作家の作品だったとしても、やはり賞賛しただろうか。

そもそも、ガルシア.マルケスという文字をその背表紙に見なければ、この本を買っていなかった可能性は高いのだ。




ミステリー好きということから出合った作品。
だた、その突発的な出会いが自分の読書の幅を広げることもあるので、それもまた良しとしておく。
百年の孤独に対する臨み方も少しわかったような気がする。