俳優キム・ボムが、イメージをくつがえす異色の格闘技選手を演じたドラマ『MY DREAM~マイ・ドリーム~』。12月19日よりアジアドラマチックTV★So-netにて放送が開始される同ドラマで変身を遂げたキム・ボムにインタビューした。
大ヒットしたドラマ『花より男子~Boys Over Flowers』でソ・イジョン(西門総二郎)を演じた後のドラマということで、その選択には多くのプレッシャーや葛藤(かっとう)があっただろう。
しかし、「『花より男子』F4の中では一番、早く次回作を決めました。別にF4のイメージを早く脱したかったからではないです。『MY DREAM』のキャラクターがすごく気に入ったので、やらないと後悔すると思ったからです」と意外にあっさりと答えた。
「『花より男子』に出演したことは幸運で幸せでした。まだ海外のプロモーションでは、『花より男子』でのキャラクターでいないといけない場合も多いです。そんな中『MY DREAM』を撮影することは早いとも思いましたが、新しいキャラクターに変ぼうする過程自体が楽しかったですね」。
華麗なお坊ちゃまから、一転、少年院帰りのハングリーな格闘家へ。短期間で、その切り替えをやるのは大変だったに違いない。メンタルな面はもちろんだが、キム・ボムの容姿は格闘家には縁遠いイメージ。役作りにはどのように挑んだのだろうか。
「格闘技選手なので、まず格闘技を習わなければなりませんでした。K-1の選手から一カ月以上直接教えてもらいました」。格闘技の訓練は大変だったというが、その成果、体の変化はどうだったのだろう。
「スポーツをネタにしたドラマなので、体を作る必要性は認知していました。でも、撮影に入ると、一日に一時間ほどしか寝られないスケジュールで、その上運動をやったら撮影に支障をきたすので、あまりできませんでした。なので、実は体の変化はあまりなかったんです(笑)。食事のコントロールはしました。スケジュールのハードさもあって、初めと最後を比べると8キロやせました」。
しかし、キム・ボムも監督も、本物の格闘家のように見える肢体を作ることより、イ・ジャンソクの心を描く演技こそが、このドラマをリアルに、視聴者に訴えるものだと考えていた。
「ドラマはもちろん架空の物語ですけど、この世にはキャラクターと同じような人がどこかで生きていると思います。そんな彼らから服を借りて着るようなものです。その服が自分にぴったりと合うようにいろいろ合わせていきました。そして、一番大事なのはそのキャラクターを理解することだと思いました。そのため何回も台本を読んで、研究しました」。
とはいえ、やはり要となる格闘シーンに手を抜いたわけではない。「時間がもっとあったらもっといいシーンにできたと思いますが、状況上、十分練習できずに撮影したのが心残りです。1カ月以上訓練したにもかかわらず、プロの目にはぎこちなかったと思います」と悔しさものぞかせた。
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楽しかったエピソードを尋ねると答えに窮する。「あまりにも多すぎて…リングに上ったことも初めてで。後半、リングに上る場面が多かったんですが、代役を使えなかったんです。そのため、実際に殴られたこともずいぶんありましたね。でも、いい共演者とスタッフに出会って、本当に、幸せな半年を過ごしました」。
いいシーンも大事だが、きれいな顔が傷ついたら大変だ。ファン的な心配ではなく、撮影に支障があるからだ。「自分もそれを心配しました(笑)。実際にあざができたり血を流したりしましたが、幸い大きなけがはなく、楽しく撮影に臨みました。脚の傷はまだ残っていますけど」。
そして、「時間に余裕があれば(格闘技を)もうちょっと習ってみたいです。でもリングの上に立つことはないでしょう」と言って笑った。
東京=野崎友子通信員
「ソン・ダムビさんは有名な“チェアダンス”で韓国じゅうの男性をとりこにした最高のアーティストですよね。でも、実際に会って、演技で顔を合わせてみたら、ステージでの姿とは違ってすごく人間味が感じられました。演技に初めて挑戦したので、いろいろ大変だったと思いますが、自分が力になれなくて申し訳なかったと思っています」。
現場をリードしたといわれるチュ・ジンモについては「今まで重くてシリアスな役をやられていた印象が強く、最初は距離感を感じました。でも、冗談を言ったり、演技の相談に乗ってくれたりもして、撮影現場のムードメーカーでした。感情をコントロールすることが素早くて、いたずらしていても、自分の出番になると、すぐ『MY DREAM』の寂しいキャラクターに変われるんです」とし、そこからいろんなことを学んだと語った。
また、その演技にはアドリブが多かったといい、「最初、チュ・ジンモさんも(父親役の)オ・ダルスさんもアドリブが多すぎてよくあせりました。まだ、僕にはアドリブをする余裕はないです。ただ、受けるだけでいっぱいいっぱいです(笑)」。
キム・ボムは、『花より男子』の直前には『エデンの東』に出演していた。『MY DREAM』の前には映画『飛翔』も撮影している。ほかの俳優に比べて、空白期間を作らず、作品に出続けている。
「休みなく演技を続ける理由は、新しいものに挑戦したい“欲”ですね。この服をすごく来てみたいと思ったのに、他の人に着られちゃったら後悔する!と思って、チャンスが来たらつかむようにしています。3年間、ほとんど休みなしで働き続けました。正直、休みたいと思ったこともありますが、撮影現場が好きなので、実際現場に行ったらそんな思いがなくなっちゃうんです」
そんな仕事大好き人間のキム・ボムも、さすがに少し休みの必要性も感じ始めている。
「『MY DREAM』の撮影でかなり苦労したので、これから少しは余裕を持ちたいです。休みなしで撮影していると、ファンと触れ合う機会もないです。F4も僕抜きでイベントに行ったこともあるし、海外のプロモーションも頑張らなきゃと思っています。学校に行くのは不可能なので、休学届を出しました。でも学びたいことが多いので、また余裕ができたら復学したいです」。
休んでほしい一方、やはり期待もしてしまう次回作。このところアクション系が多いが、「正直なところ、次回作はもうちょっとソフトなものをやりたいです。もちろんアクションは魅力的なジャンルですが、新しいジャンルに挑戦したいです。特に何をということではないのですが、まだ経験していないものも多いので、ジャンルに関係なく、やりたい作品があったら何でもやります」と語った。
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どんなキャラクターを演じたいかと尋ねると、「悪役もやりたいです。人間っていろんな性格を持っていると思います。ファン・ジョンミンさんみたいに作品によってキャラクターが、がらっと違う役が演じられたら。人間の両面性を表現する役をやりたいと思いますが、まだ勉強不足。今は無理ですが、ぜひいつかやりたいです」と意欲を見せた。
何でも貪欲に吸収し、1作ごとに、1日ごとに成長している感のあるキム・ボム。理想を掲げるだけでなく、現実もしっかり見ている。そんな彼に、俳優としての伸びしろの大きさを感じた。
格闘技K-1の世界を舞台に、それぞれに挫折や痛みを抱えたスポーツエージェントのナム・ジェイル(チュ・ジンモ)とスリの前科を持つ少年院帰りのイ・ジャンソク(キム・ボム)が、名トレーナとその娘ソヨン(ソン・ダムビ)らの力も得て、チャンピオンになるという「夢」に向かって繰り広げられる愛と成長のハートフルなドラマ『MY DREAM』。
CS放送のアジアドラマチックTV★So-netにて12月19日より日本初放送。毎週土・日曜午前8時30分、午後11時に放送される。
東京=野崎友子通信員
