映画スターとギャングスターというまったく別の世界に生きる二人の男が、“映画”の中でだけ交錯する…。そんな映画『映画は映画だ』で俳優スタ役を演じ、2008年の「大韓民国映画大賞」「青龍映画賞」「韓国映画評論家賞」と3つの主要映画賞で新人男優賞を総なめにした俳優カン・ジファン。

俳優が俳優役をし、映画の中で映画を撮る、という一見簡単そうだが逆に難しい役に挑み、劇中同様、本気か演技か見分けが付かないような対決シーンをW主演のソ・ジソブとともに繰り広げ、素晴らしい演技を見せた。役のスタのイメージである白のスーツで爽やかな姿で現れたカン・ジファンにインタビューをした。


-日本で『映画は映画だ』の公開が決まった時は、どのように思われましたか。  


 「スクリーンに映った自分の演技を見て、ゾクッとするような感動がありましたので、その感動を日本のファンの皆さんにも伝えられるのでうれしく思っています」




-カン・ジファンさん演じるスタはけんかが強かったですが、ご自身はいかがですか。  


 「高校生のころはけんかをすることもありましたが、いまは大人になりましたし、平和主義者ですよ(笑)」


-クライマックスの干潟のファイトシーンは泥だらけでいかにも大変そうでしたが、ソ.ジソブさんとはどのようなテンションで挑まれましたか。


 「撮影後は二人とも“早く家に帰りたい”と言いました。あのシーンのために長く準備をしたのですが、実際の撮影では、干潟に膝までつかってしまい、動線などを考える余裕もなかったので、今まで練習で息を合わせてきた勘を頼りにやりました。1日で全部あのシーンを撮り終えなくてはいけなかったので、けがをしないように気を付けて。鼻にはタバコのフィルターを詰め、口に入った泥は何度も吐き出したりしていました。一番大変だったのは、トイレに行けなかったことです。ジソブさんは昼食後、泥に穴を掘り…していました(笑)」




-車の中でのベッドシーンがありましたが、まず台本を見てどう思われましたか。スムーズに撮影はできたのでしょうか。


 「台本を見て、とても驚きました。生まれて初めてのベッドシーンだったのでとても緊張しました。監督にアドバイスを求めるとわたしに任せると言われてしまい…キスはどのようにしたらセクシーに見えるか、その手のビデオを見たりして練習しました。香水、ボディーローションも付けて撮影に臨みました。でも、本番ではなぜかあまり緊張しませんでした。それより、音が良くなかったため撮影後にアフレコをしたんですが、その音入れの時の声の方が恥ずかしかったですよ(笑)」



-現在日本に長期滞在されていますが、楽しいことはありましたか。

 「いろんなところへ行ってみたいと思っていましたので、東京では赤坂・六本木・渋谷・原宿…また大阪・名古屋と行って、地下鉄などにも乗り、おいしいものも食べて…すごく満足しています。宿泊しているところからジムまでは、自転車に乗って通っています」


-お肌がきれいですが、何か特別なものを使ってらっしゃいますか。


「そうですか? あまり気にしてませんが、ヘアメークさんや母親が薦めてくれるものを適当に使っています。でも、最近きたなくなったと言われて…いいものがあったら紹介してください(笑)」


 カン・ジファンはどんな質問にも、率直に、明るく答えてくれる。次第にインタビューの場もほぐれた雰囲気になり、前回のファンミーティングで話題を巻き起こした、舞台に上がったファンの人にキスをしたことについて尋ねると「実は、そのことが話題になったことにとても驚きました。韓国で、親しい人とハグしたりチューしたりするのは自然なことです。そして、その時のファンの方は、自分の母親とか祖母のような年齢の方だったので、そういう気持ちでキスをしました。若い方だったら(キスは)しなかったと思います」とその時の気持ちも明かした。




 そして、現在日本では日本語を学んでいる、と言うので、日本語で何か話してみてください、と頼むと、話してくれたがその言葉が「○%*△$×…」とさっぱりわからなかった。わかりません、と言うと、ちょっと待ってとマネージャーにアンチョコの手帳を持って来てもらい、それをちらっと見て「あなたの電話番号は何番ですか」としゃべった。ドキっとして、思わず答えそうになった。日本語はまだまだのようだが、カン・ジファンらしさがにじみ出ていたと同時に、日本滞在を楽しんでいる様子が感じられた。


 2008年はカン・ジファンにとって、大きな飛躍の年だった。年初に放送されたKBSドラマ『快刀ホン・ギルドン』ではタイトルロールのヒーローを演じ人気を博し、「2008KBS演技大賞」でネットユーザー人気賞も受賞。韓流スターとしての人気上昇とともに演技力にも深みを増したカン・ジファンは『映画は映画だ』で、映画俳優としての魅力を大きく開花させ、人間としての魅力もどんどん増しているようだ。




 ソ・ジソブ、カン・ジファンがW主演、韓国映画界の鬼才キム・ギドク原案・製作の『映画は映画だ』(http://www.eiga-eiga.jp/ )は3月14日、シネマスクエアとうきゅう他で全国ロードショーされる。


東京=野崎友子通信員

朝鮮日報日本語版