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この記事の要約:
- ピアノの連弾や重奏は何台・何人・何手まで演奏されたのかを調査
- まず基本的なピアノ連弾・重奏のスタイルを紹介
- 調べた結果を演奏動画の埋め込みとリンクで掲載
みなさん、お元気ですか~ (^-^)/
FUKUON 福田音楽教室 ピアノ講師&音楽療法士の福田りえです。
ピアノ連弾は、いったい何台(何人)まであるのでしょうか?
こんなご質問をFacebookでいただきました。
確かに、ピアノって何台(何人・何手)までの演奏があるんだろうと、私も疑問に思って調べてみたところ、びっくりする結果に!
世界にはホントに多種多様な連弾や重奏があるんだなぁ~って、ため息が出てしまいました。
今回はその調査結果のご報告となります。
最後まで楽しんでお付き合いください。
この記事の目次:
※Ameba(アメーバ)アプリではページ内のリンク先へ移動しない場合があります。
- 基本的なピアノの連弾スタイル
- 1台のピアノによる四手連弾
- 2台のピアノによる二重奏
- 3台のピアノによる三重奏コンチェルト
- 4台のピアノによる四重奏
- 4台のピアノによる十六手連弾
- 5台のピアノによる五重奏
- 6台のピアノによる六重奏
- 8台のピアノによる八重奏
- 9台のピアノによる九重奏
- 10台のピアノによる十重奏
- 1台のピアノと12人のピアニストによる連弾!?
- 13台のピアノによる十三重奏
- 14台のピアノによる十四重奏
- 15台のピアノによる五十八手連弾(内ソロ1台)
- 16台のピアノによる連弾十六重奏
- 20台のピアノによる二十重奏
- 101人のピアニストによる連弾
- 100台のピアノによる重奏コンチェルト
- 結論:ピアノ連弾は何台(何人)まであるの?
基本的なピアノの連弾スタイル
さて、ひと口にピアノ連弾といってもいろんな形式があるので、まずはその定義から。ピアノ連弾には主に2つの形があります。
- 1台のピアノを複数人で同時に演奏すること
- 複数台のピアノを同時に演奏すること
以下、A.B.それぞれ軽く説明します。
A. 1台のピアノを複数人で同時に演奏する連弾スタイル
1台のピアノを複数人で同時に弾く演奏スタイルは、私たちが普段よく目にする形式のピアノ連弾ですね。発表会でも親子や生徒同士、あるは友だちと一緒に連弾する姿をよく見ます。
2人でのピアノ連弾の場合、鍵盤に向かって右側の第1奏者をプリモ(Primo)と呼び、主にメロディ/高音部を担当します。左側の第2奏者をセコンド(Secondo)といい、主に伴奏/低音部を担当します。
3人以上での連弾になると、高音部から低音部に向かって第1奏者、第2奏者、第3奏者……となります。
また、2人でのピアノ連弾を「(二人)四手連弾」と呼んだりしますが、演奏する楽曲によって必要となる手の数から「(三人)六手連弾」、「(四人)八手連弾」などと言い表すこともあります。
たまにプリモ(Primo)側がメロディのみ右手での演奏することもあるので、「(二人)三手連弾」や「(三人)五手連弾」など、変則的な形も考えられますよね。
B. 複数台のピアノを同時に演奏する連弾スタイル
複数台のピアノを同時に演奏する連弾スタイルでは、複数のピアノそれぞれに一人(または複数)の演奏者が付きます。
しかし生演奏としてお目にかかる機会は少ないかもしれませんね。舞台上に複数のグランドピアノを置くことになるので、会場の設備次第のところがあるのでしょう。
2台のピアノを2人の奏者が弾くのための楽曲を、「2台ピアノ」とか「ピアノ・ディオ」、または「ピアノ二重奏」といいます(ピアノ二重奏の場合は通常の連弾曲も含めることがあります)。
さて今回調べた中には、1台のピアノを複数人で弾くAタイプも、複数台のピアノを同時に演奏するBタイプも、あるいは両方が混ざったような連弾スタイルのものまで、織り交ぜてお届けします。
まずはオーソドックスな、ピアノ1台の連弾からのご紹介です。
※本当はすべての演奏の動画を埋め込みたいのですが、さすがにページの読み込みが遅くなりそうなので、一部の演奏のみ動画を埋め込んで、その他はキャプチャー画像とYouTube動画へのリンクを用意しました。
▶ ←このマークが付いている項目は、動画が埋め込まれています。
1台のピアノによる四手連弾
これはスタンダードなピアノ連弾です。
曲はレフレールさんの『Happy song』、いい作品ですよね~♪
▶2台のピアノによる二重奏
モスクワ音楽院小ホールでのデュオ・リサイタル。こちらもスタンダードな、2台のピアノによる二重奏です。
3台のピアノによる三重奏コンチェルト
三人のピアニスト※1とローザンヌ室内管弦楽団とのコンチェルト※2。3台のピアノで聴くこのバッハのコンチェルトも斬新!(ピアノは4台並んでいますが、演奏に使っているのは内3台)
👉 Bach concerto for 3 Pianos BWV 1064(削除)
※1 その内のお一方は、日本人ピアニストの酒井 茜(Akane Sakai)さんです。
※2 コンチェルト:協奏曲。ピアノなど1台もしくは複数の独奏楽器と、管弦楽との組み合わせで演奏される楽曲のこと。
2017年11月11日、カザフ国立音楽院大ホールでの、同室内管弦楽団と三人のピアニストによるコンチェルト。この3台ピアノのモーツァルトは私のイチオシです!
4台のピアノによる四重奏
「MultiPiano※」による、イスラエル音楽院での2013年10月の演奏。こういったピアノの配置も面白いですね。
👉 Bach-Vivaldi/Concerto for 4 Pianos/MultiPiano Ensemble
※MultiPiano:イスラエルのピアニスト4名によるアンサンブル・プロジェクト。
4台のピアノによる十六手連弾
スティーブン・F・オースティン州立大学※での「2011鍵盤奨学金募金コンサート」から。4台のピアノそれぞれが二手連弾という組み合わせ!
👉 William Tell Overture by Rossini (4 pianos, 16 hands)
※スティーブン・F・オースティン州立大学:アメリカ合衆国テキサス州ナコドーチスにある州立大学。
5台のピアノによる五重奏
この5台のピアノによるホルスト『ジュピター』は、映像的にも凝っていてとても面白いですよ。ピアノ演奏が撮影されたのは、「パラディウム※」という素晴らしいコンサートホールです。
👉 Jupiter from "The Planets" for 5 pianos - The 5 Browns
※パラディウム:アメリカ合衆国インディアナ州カーメルにあるセンター・フォー・パフォーミングアーツ(舞台芸術センター)のコンサートホール。
▶6台のピアノによる六重奏
円形に配置したピアノからはどんな音色が響くのか? 気になりますよね。特殊奏法※も入っていて、見応えあります。
👉 Miguel del Aguila CONGA LINE IN HELL for 6 pianos, David Appleton, Piano circus, London, UK
※特殊奏法:楽器設計時に想定されていなかった特殊な演奏方法のこと。
8台のピアノによる八重奏
撮影されたカメラが固定なのでわかりにくいですが、8台のピアノによる八重奏・十六手連弾です。ちなみに、この軽快で楽しげな曲は『ジャマイカ・ルンバ』といい、私も大好きな曲です!
9台のピアノによる九重奏
モンタナ大学※の職員・学生・卒業生による、グランドピアノ5台 + アップライトピアノ4台で弾く『エンターテイナー』。ちょっとした笑いもあり、とても楽しい演奏です。
👉 Pianissimo 2013:"The Entertainer", 9 pianos
※モンタナ大学:アメリカ合衆国モンタナ州ミズーラにある州立大学。
10台のピアノによる十重奏
ポーランドのショパン音楽アカデミー※による「10台のピアノ・プロジェクト」。ピアノと指揮者のアヴァンギャルドな位置関係に注目。曲目は『星条旗よ永遠なれ』と、なぜかアメリカン。
👉 J.P. Sousa - The Stars & Stripes, Forever 10 pianos - F. Chopin University of Music
※ショパン音楽アカデミー:1812年設立のポーランドで最も伝統ある音楽大学。日本ではワルシャワ音楽院やショパン音楽院とも呼ばれる。
▶1台のピアノと12人のピアニストによる連弾!?
2011年1月3日、エジプト・アレクサンドリアオペラハウスでおこなわれたコンサートのアンコール演奏です。
入れ代わり立ち代わり弾いているため、いったい何手連弾と呼んでいいのかかわかりませんが、12人のピアニスト※でこんな弾き方ができるんなんてびっくり!
動画の概要欄によると、1台のピアノによる同時演奏人数の世界記録として「ギネスブック2002」に記載されているそうです。
それにしてもピアノの下の人、腹筋鍛えられますね。^^;
👉 12 Pianists at 1 Piano: Albert Lavignac / Sischka Galop-Marche à 12
※12人のピアノストの中には、石川典子さん・松田玲美さん・竹沢絵里子さん の、3名の日本人ピアニストが参加されています。
13台のピアノによる十三重奏※1
1974年12月9日、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホール※2でおこなわれた「インターナショナルピアノライブラリー」のコンサート。音源だけですが、音に集中して聴くと多くの学びがあります。
👉 13 PIANOS LIVE IN CONCERT - THE COMPLETE LP (1974)
※1 この記事を公開した当時、動画のタイトル「13 PIANOS」から、文字通り13台のピアノによる重奏としてご紹介しました。しかし上に掲載した同動画のサムネイル画像には、8台のピアノしか写っていませんので釈然としないままでした。
今回リライトするにあたり調べ直してみたところ、同コンサートを収録したLPレコードのジャケットに、13名のピアニスト名が記載されていることを知りました。
また同LPに収録された中で、1曲あたり最大のピアノ台数は、動画1:20からはじまるベートーヴェン『トルコ行進曲』における8台で、上記画像もその演奏シーンとされます(ただしLPに収録されたのは、同コンサートのすべてではないようですので、確定的ではありません)。
よってこの項目は本来「8台のピアノによる八重奏」としてご紹介すべきものでした。しかし素晴らしい演奏に敬意を表して、このまま残しておきます。
※2 動画の概要欄にはロイヤル・アルバート・ホールと記載がありますが、ロイヤル・フェスティバル・ホールの誤りだと思われます。
14台のピアノによる十四重奏
2012年1月21日におこなわれた、アメリカ作曲家協会の支部主催によるコンサート。場所はオレゴン州ポートランドのシャーマンクレイピアノ社※。整然と配置された14台ものピアノが圧巻です。
👉 Two Canons for 14 Pianos by Tomas Svoboda
※シャーマンクレイピアノ社:楽譜出版・楽器販売を手掛けていたアメリカの会社。1853年設立~2013年閉鎖。
15台のピアノによる五十八手連弾(内ソロ1台)
聖オラフ大学※音楽課程のピアニスト29名による、リハーサルなしでの演奏。2階から撮った映像は、演奏者の高揚が伝わります。
👉 St. Olaf College - 15 pianos at once(非公開)
※聖オラフ大学:アメリカ合衆国ミネソタ州ノースフィールドにある、全寮制の4年制大学。
16台のピアノによる連弾十六重奏
2007年のイタリア・レッチェで開催されたマイアミ国際ピアノフェスティバルでの演奏。
ぱっと見、本当に16台ものピアノがあるのかわかりませんが、ちゃんとあります。見つけられますか? もし16台すべてが四手連弾だとすれば、六十四手連弾になりますが、映像が粗くて確認できませんでした。
しかしワーグナーをピアノで聴くのも、オツなものがありますよね♪
👉 R. WAGNER / L.M. GOTTSCHALK TANNHAUSER OVERTURE -16 PIANOS
▶20台のピアノによる二十重奏
2011年7月2日、スペイン・バレンシアにある音楽学校Musikeon(ムシケオン)による、圧巻のピアノ二十重奏。あっぱれ! ブラボー!
101人のピアニストによる連弾
ピアニストLang Lang(ラン・ラン / 郎 郎)プロデュースによる、子どもから大人まで101人がチャレンジするピアノ連弾。2台を除き電子ピアノですが、リハを含めこれだけの人数をまとめるのは大変だったことでしょう。
未来を担う子どもたちに、他者と協調しながら演奏する素晴らしさが波及していきます。
▶100台のピアノによる重奏コンチェルト
ピアニストLang Lang(ラン・ラン / 郎 郎)を中心に、グランドピアノ100台とオーケストラのコンチェルト。動画の概要欄によると、演奏曲は『RIO AMARILLO』、スペイン語で「黄河」の意味だそうです。
ここまで来ると、もう言葉は必要ありません。黄河の流れのように圧巻です。しかし中国はピアノ人口も多く、調律も大変でしょうね^^;
結論:ピアノ連弾は何台(何人)まであるの?
さて、冒頭でご紹介したご質問……
ピアノ連弾は、いったい何台(何人)まであるのでしょうか?
ですが、その答えは……
- 50台の電子ピアノによる連弾(100人)
- 100台のピアノによる重奏(100人)
……と、ここまでは一応動画があるということは確認できました(厳密な台数や人数は誤差があると思いますが、ザックリと)。
もし広~い会場にピアノ100台を置いて、それぞれ二人で四手連弾すれば、ギネスも更新できそうですよね! 企画と気合次第で、何台でもピアノ連弾できるのではないのかと思えてきます。
ただピアノの数が増えれば増えるほど、全体の音量バランスやタイミングを合わせることが難しくなり、簡単な曲でも一人で弾くより難易度が上がっていきますよね。指揮者も必要になりますし。
それ以前に、それぞれのパートを分けた連弾編成や、複数台のピアノを想定した曲作りなど、作曲者のイメージ力と表現力、それに胆力が物をいいそうで、作るのも楽じゃないなと思いました。
しかしそれだけに、音楽がピタッと揃ったときの感動や快感も、2~101倍と凄くなるんだと思います。みなさんも連弾や重奏など、実際に体験できる機会があればぜひチャレンジしてみてくださいね!
みんなの福をスイッチ(〃^∇^)オ~ン*:゜・.。..彡☆
FUKUON ピアノ講師☆福田りえ
※この記事は2015年5月31日に公開し、2020年6月12日に加筆・編集してリライトしたものです。あくまで公開当時における内容となっていますので、今現在の状況を反映しているわけではありません。