"黄昏に嗚呼傀儡の間抜けかな死して屍己にて


拾え(無理~!)"


覚えず辞世の句を詠んじゃったけど、まさか


マジで死ぬ訳にもいかぬ故、仕方なく来た電


車に乗って帰路に着く・・・。


それもこれも、雑誌で見掛けた『自分探しの


旅が静かなブーム!you も自分探しの旅に出


てみないかい?』なんつう特集を真に受けて


熟考すること無しに実行に移してしまった故


の酷たらしい結果・・・。


敬愛する哲学者ザルトルの言った"静かなブー


ム、静かなのはブームとは呼ばない"という格


言をすっかり忘れ、久々のholiday の今日、早


起きした拙者は、意気YOYO と自探の旅に出


た。


そもそも自分探しの旅とは何なのか?自分と


いうのは、果たしてマジで見つけられるもの


なのか?・・・う~ん自分とは・・・🎵なん


のため~に生~まれてな~にをし~て生きる


のかっと歌ってる場ヤイではないので、取り


敢えず、かれこれ40年以上行っていない幼少


時代を過ごした町にいざ戻らば、己のルーツ


に出会えるのではないか?と思い立った拙者


は、始発電車に飛び乗った。


「あっ!まだあの駅前にあった公園がそのまま


残ってる!日暮れまでeverday よく遊んだな


ぁ~懐かしいなぁ~!」と懐かしの駅に下車す


るや否や、「う~んノスタルジーって気分にど


っぷりんこと浸るつもり満々だったのに、駅


から出てみると、あの小さなキオスク1つし


か無かった殺風景な駅は、10階建ての豪華駅


ビルに大変貌を遂げていたばかりか、"夏菓子


駅"という駅名までが、"新夏菓子駅"に変わっ


てるじゃん・・・あ~あ・・・これじゃノス


タルジアな気分に全然浸れねんじゃね?・・


・とブツクサ言いながらwalking 開始。


一歩一歩懐かしの我が家に近づく度、想ひ出


は甦る。幼少の日感じたあの匂い、風の輝き


・・・知らず知らずの内に僕は沢山のものを


失ってしまった・・・。純真さ淳良さを捨て


陋劣極まりないハレンチguy に成り下がって


しまった・・・なんて自らを振り返る・・・


「うむ、これぞ自分探しのジャーニー!!うん


いいじゃん!いいじゃん!これこれこれだよ


!」と気分高揚しつつ歩くこと5分、三叉路に


あった駄菓子屋が見えたらもう懐かしの我が


家はすぐそこさ!。当時確か80代だった駄


菓子屋のおばあのsweet な笑顔が甦る。


あれから40余年・・・おばあは120歳になっ


てるはず・・・元気かな?いや鬼籍に入って


るな・・・なんてシュタシュタ歩い行くと、


駄菓子屋どころか、三叉路すら無くなったそ


のplace には、bigな日焼けサロンが店を構え


ており、須臾絶叫・・・。


But 『真っ黒!!30分100円で!!』と倒置


的に壁に書かれたポップに「あら!素敵!」と


思わず店に入りかけ「あっ!自分探しの旅!旅


!」と叫んで辺りをよく見回すも、そこに昔の


面影は皆無で、拙者はちょっとキョロキョロ


しただけの異邦人であった・・・。


But 態々早起きしちゃって此処まで来たの


に、そう簡単に自分探しは諦められぬと奮起


、ランチ抜きで無闇矢鱈に歩き回ること11時


間半、そして夕間暮れ・・・。


結局想ひ出の欠片すら見つけられぬ儘、疲労


困憊降参し、駅まで戻った拙者は、この儘帰


るのも癪なので、駅前にある交番で問うた所


「あ、ここは新夏菓子駅で、旧夏菓子駅は隣駅


です。旧駅の方はまだ未開発で昔の儘残って


います。ひと駅なのですぐに行けます」と明朗


快活に言われ詠んだ冒頭の区・・・。


・・・でも考えようによっては、間抜け&う


つけ者&うっかり屋さんの自分に出会えた訳


で、有意義な旅であったのではあるまいか?


・・・否・・・あるまいよ・・・絶対!。


【評】皆さんは昔過ごして長い間行っていない懐かしの場所へ行って、ひと駅違った駅で下車して、懐かしの場所が全然見つからずに、一日中歩き回った事はありますか?。わたくしはありませんし、皆さんも殆どの方は無いと思います。って事はこの掌編の主人公である拙者なる人物はアホである&おバカであるということになるでしょう。お気の毒&御愁傷様と声をかけてあげる気もおきません・・・よね・・・うふふ!ではまた👋