※まだ書いてない学校行事ってなんかあったっけ?と悩んだ末の修学旅行タラー(高校2年の設定です)原作とは一切関係ない個人の『妄想』ですのでご理解の上でお読みください照れ




                  『lonely trip 1』




彼の部屋に差し入れを持って訪れたある日の夜

「そろそろ帰る時間だろ」

わたしを送るために立ち上がった彼の腕をそっと掴んで

「やっぱり、行かないの?」

一縷の望みをかけて聞いてみたのは

「修学旅行」


数ヶ月前


「修学旅行?」

「うん、うちの学校は秋だったよね?」

2年に進級したばかりの頃、下校途中になんとなく気になって

「行く…よね?」

彼も参加するのか聞いてみたところ

「たぶん、行かねぇ」

「えっ?」

動揺しているわたしと視線を合わせないようにするためか、葉桜を見上げたままの彼が独り言のようにつぶやいた言葉はちゃんと覚えてる

「1週間近くジムとバイトを休むのはちょっと無理、だろうな」

だから当然

出発が明後日に迫った今頃になってそんなことを聞いたって、無駄だってことはちゃんとわかってる…わかってるんだけど

「あのなぁ」

心底困ったような表情でこっちを向いてため息をついた彼の答えは案の定

「前にも言っただろう、試合も近いしバイトも忙しい時期だから何日も旅行に行ってる余裕はないって」

「う、うん」

仕方ないよね、それは理解してる

でも、だったら

「わたしも行くのやめよう…かな」

「は?」

だって、何日も離れ離れなのはすごく寂しいんだもん

「なに馬鹿なこと言ってんだよ。もう準備だって終わってんだろ?」

それは、そうなんだけど

「卒業したらクラスメートと旅行に行く機会なんてないんだし、おまえはただでさえ学生でいられる時間が少ないんだから…ちゃんと楽しんで来いよ」

まるで父親のような口ぶりでそう言いながら、わたしの頭を優しく叩くと

「これ」

彼は小さな紙袋を差し出した

「なあに?」

受け取って中身を取り出して見ると

「これって、お守り?」

四葉のクローバーのチャームと『交通安全』と書かれているお札がついたキーホルダーが入っていて

「おまえのことだから自由行動で迷子になりそうだし、念のためな」

へ?

「しょ、小学生じゃないんだけど」

「ばーか、小学生の方がしっかりしてるだろ」

「そんなことありません!でも…」

ほんとはとっても嬉しくて、でもやっぱり一緒に行けないのが悲しくて

「ありがとう、お土産買って来るね」

泣きそうになってしまったのに気づかれないよう、彼の胸に顔を埋めた





continue(次回に続きます)↓