※このお話は愛良ちゃん目線になっています🧡



                      『request 3』




「500円!?」


日曜日の夕方

大学生のカレが働いているお花屋さんに、頼んでおいた父の日のプレゼントを受け取りに行くと

「わぁ!」

あたしがリクエストしていた青だけではなく、白や緑の薔薇も散りばめられたとっても豪華な花束を手渡されて

「こんな感じで良かったか?」

ちょっと照れくさそうに頭の後ろを掻いているカレのセンスに感動してしまった

「すっごく綺麗、ありがとう。」

だけど

料金を支払おうとしたあたしに、エプロン姿のカレが告げた金額がまさかの

「500円って…そんなわけないでしょ⁉︎」

「サービスしとく。」

「だ、ダメだよ。あたしがお願いして作ってもらったんだから。」

絶対にその十倍くらいの値段はするはずだもん

「だから500円だって言ってるだろう、さっさと払え。」

「でも…わざわざ取り寄せてもらったって言ってたじゃない、そうですよね?」

すぐそばで、にこにこしながらあたしたちのやり取りを見ていたヒゲの店長さんに同意を求めると

「まぁ、あれだよ。カレが自分のバイト代から引いてくれって…」

えっ?

「ちょっ、店長!余計なこと言わないでください。」

カレは慌てた様子で、大きな声を出したあと

「気合い入れ過ぎて中学生に払えないような物を作った俺が悪いんだ。いいからさっさと持って帰れ。」

咳払いをして、あたしの背中をポンっと叩いた



〜翌朝〜


「おはよう…あっ!」

リビングのドアを開けると、昨日の薔薇が花瓶に入れて飾ってあって

「綺麗でしょう?」

いつにもまして幸せそうな笑顔のおかあさんがキッチンから顔を出した

朝日を浴びてきらきら輝いている薔薇の花からはとっても甘い香りが漂っていたのだけど

「いい匂い…って、あれっ?」

「な、なあに?」

隣で薔薇を見ているおかあさんから、花とは違う種類のいい香りがした

「朝から香水つけてるなんて珍しいね。」

「あっ、わかっちゃった?」

蕩けそうな顔になっているおかあさんからは、どことなくフルーティな香りがしていて

「実はね、ゆうべお父さんがプレゼントしてくれたの。」

へ?香水を?

「昨日はおとうさん、おじいちゃんと飲みに行ってたんだよね?」

しかも父の日だったのに、なんでおかあさんにプレゼントなんかするんだろ?

「それがお父さんたら…」

「うん、うん。」

続きが気になって頷いた瞬間

「余計なことをべらべらしゃべるな。」

振り向くと、眉間にしわを寄せたお父さんがすぐ後ろに立っていて

「花、ありがとな。アイツにも礼を言っておいてくれ。」

ひきつった笑顔でそう言うと、ソファに座ってアイスコーヒーを飲み始めた

やっぱり、あたしのお小遣いだけで買ったわけじゃないってバレてるか

ちょっとピリついた空気を察知したのか

「そうだ、昨日は父の日のお祝いしなかったから今夜はご馳走を作ろうと思うんだけど何かリクエストはある?」

おかあさんが肩に手をおいて話しかけたのに

「…べつに、何でもいいよ。」

そっけない返事しかしないおとうさんの本心を、代わりに言ってあげることにした

「おかあさんの作るものは何でも美味しいから選べないんだって。」

「!!」

飲んでいたコーヒーを吹き出してしまったおとうさんは



なんだかんだ言っても、世界で一番かっこいいおとうさんだ




fin



※思いのほか長くなってしまった💧今年の『父の日企画』、気に入っていただけたら幸いです照れ
あっ気づき前にも一度書いたのですが新庄さんと愛良の年齢差(6歳)は私的にはすごくドキドキしちゃいます💕
今回もお読みいただきありがとうございました💐
良い週末をお過ごしください💛 にあ


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