『greedier 5』




いったい、どうしちゃったんだろう?


連休最終日に偶然出会った彼は、なんだかいつもと様子が違って見えた


もしかして


ここ数日の出来事で落ち込んでいるわたしのことを心配してくれてるの?

痛めた手首を優しく包み込んでいた彼の大きな手は

「泣くなよ。」

いつのまにか頬を伝っていた涙をそっと拭ってくれていた


そして


「母の日のプレゼント⁉︎」

「大きな声を出すな、馬鹿。」

わたしに頼みたいことっていうのは…つまり

「何にしたらいいかイマイチ分からねぇから、一緒に選んで欲しいんだ。」

そっか!

あの時言ってたのは、おば様にあげるプレゼントのことだったんだ

「わ、わたしなんかが選んでいいの?」

とっても嬉しいお願い事に、すっかり舞い上がってしまっていると

「俺が選ぶよか少しはマシだろうよ。」

いつもの調子で頬をつねられちゃったけど

「なんで笑うんだよ、変なヤツ。」

にこにこがとまらない

だって大好きなんだもん、しょうがないよね


2時間後


駅前のデパートで、ほんとうにわたしが選んだ花柄の化粧ポーチを買ったあと

「…これ。」

家まで送ってくれた彼が申し訳なさそうにポケットから出したのは

「えっ?」

連休前にわたしが貸したハンカチだった

「ごめん、洗ったけど完全には血が落ちなかった。」

「ううん、わたしが勝手にやったことだもん…気にしないで。」

わざわざ洗って返してくれるなんて、それだけでもすごく嬉しいのに

「代わりといっちゃなんだけど。」

「えっ?」

さっきのデパートの物らしい小さな包みを差し出されてびっくりした

「俺が選んだから…気に入らねぇかもしれないけど。」

照れくさそうにそう言いながら、わたしの左手に握らせると

「じゃあ、またな。」

あっというまに走り去って姿が見えなくなってしまった

「どうしよう…」

緊張して震える手で包みを開けると、中には可愛い子猫の刺繍がついた白いハンカチが入っていて

この前とは別の意味で、涙が止まらなくなってしまった





continue(次回に続きます)↓
※次はおまけ(いつものふざけたやつ)です💧


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