えっと

今日(5/5)も仕事だったのですが、『子供の日』っぽいお話を書きたくて隙間時間で悪あがきした結果の小話です💧ほんっとに大した内容ではないのですが良ければ読んでいただけるととっても嬉しいです↓


ねねちゃん再び、ということでこのシチュエーションが苦手な方はご注意を!(今回のねねちゃんは5歳くらいの設定です。)




                  『devil or angel』



大型連休中のとんでもなく混み合っている遊園地のフードコートで

「『子供の日』ってのはいつから孫の子守りをする日になったんだ?」

朝からお転婆な幼稚園児に振り回されて、疲れきった俺が思わずボヤくと

「何か言ったー?」

目の前のベンチで孫娘にサンドイッチを食べさせている彼女に睨まれてしまった

「ねぇ、じいじといっしょにジェットコースターにのりたい」

落ち着きのない孫娘は昼メシもそこそこに俺の足元にまとわりついて来る

「ダメだ、あーいうのは年齢制限とか身長制限があるからな」

こぼしそうになったアイスコーヒーを慌てて飲み干しながらそう答えると

「ちょっと、幼稚園児にそんな言い方しなくても…」

「せーげん、ってなーに?」

女ふたりの視線が怖い

「だから、もう少し大きくならないと乗れないってことだ」

小さな体を抱き上げて説明すると

「えー!じゃあ、じいじのまほうでおっきくして」

「そんな魔法はない、あきらめろ」

「じゃあじゃあ、くるくるまわるコップにのる〜!」

「何回目だよ、勘弁してくれ」

こうして

日が暮れるまで遊び倒して、帰りの車で眠ってしまった悪魔…ではなく天使を息子夫婦の家まで送る途中

「いったい誰に似たんだ、コイツは?」

天真爛漫なだけならいいのだが、とにかく元気が良すぎる孫の相手は

「子育てしてたころの十倍は疲れる」

そうボヤいた俺に、助手席で携帯を手にした彼女は

「ただ単にあなたが年を取ったってことじゃないの?」

今日撮った写真を幸せそうに眺めながら、からかうようにそう言った

「年寄り扱いするな、まだ40代だぞ」

そう

どこからどう見ても両親にしか見えない俺たちが、『じいじ』だの『ばあば』の呼ばれているのを

「周りにいる家族連れが驚いて二度見するのも嫌なんだよ」

「いいじゃない、若いおじいちゃんとおばあちゃんって」

おばあちゃん、ねぇ

「その服…」

「あっ、気がついてた?いいでしょう、今日のためにこの子とお揃いで作ったの」

こちらを見て嬉しそうに微笑んだ彼女が着ているのは眩しいくらいに真っ白なワンピース

まるでウェディングドレスのようなふんわりとした裾に風を孕ませて、青空の下を歩いていた可憐な姿に目を奪われていた男が今日一日で数えきれないほどいたことに全く気がついていない彼女は

「あー、いい年して孫とペアルックなんてイタイって思ってるんでしょ?」

黙ってしまった俺に拗ねたような口調でそう言って、窓の外を向いてしまった

「そういうかっこうは、ふたりきりで出掛ける時にしてこい」

仕方なく滲ませた本音に

「えっ?」

キョトンとした顔でこっちを見ながら

「そっか、白だと汚れちゃうもんね、この子と外で遊ぶと」

ひとりで勝手に納得している彼女の方が、ほんとうは悪魔なのかもしれない




fin


※いや、おっきくなる魔法はあったはず…たぶん。


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