『strawberry 2』



ガラじゃない…どころの話じゃねーぞ、ったく

朝っばらから彼女にとんでもないことをして混乱…というより不安にさせて別れた後

自分の教室の机の上で文字通り頭を抱え、数時間前の出来事を恨めしく思い出していた

疲れきってぐっすり眠っていた俺の元に突然、魔界の魔女が現れたのは今日の夜明け前

水晶を持った不気味な老婆にいきなり叩き起こされて、さすがの俺でも息が止まるほど驚いた

「なっ…」

言葉も出ない俺に大きな水晶を見せながら魔女が告げたのは

明日の2月14日、彼女の身に危険が迫っている兆候が見える…というようなことだった

「危険って具体的にはなんだよ?」

にわかには信じられない、というか信じたくない話に眉を顰めて聞いてみると
  
「さぁて…詳しいことは良く分からんが、甘い菓子が災いをもたらす相が見えておる。」

明日の14日に甘いものって言えば…アレか

「バレンタイン…ってやつか?そんなくだらないイベントが何だってんだよ。」

チョコレートと彼女に降りかかる災いの因果関係がまったく分からねぇ
  
「何が起こるかは知らん。ただ…有効な結界を張る方法はある。」

「結界?」

「なあに、簡単なことじゃ。」

細い目を一瞬大きく見開いた魔女が低い声で囁いた

「今日、13日のうちに午前と午後と深夜の3度、この世で最も愛する者が口づけをしてやるだけで良い。」

「…冗談だろ?」

「冗談ではない、水晶はそう言っておる。じゃが、結界は本人には気づかれぬように張らぬと効き目がない…ともな。」

悪い夢ならさっさと覚めてくれ…と心の底から願ったのは言うまでもない



continue(次回に続きます)↓