※今回はプロポーズ後、ふたりの独身最後のクリスマスのお話になります。原作とは一切関係のない個人の妄想ですのでご理解の上でお読みください照れ



                  『last christmas 1』




冷え込みが強さを増してきた明け方

ふと目を覚ますと彼女が俺にしがみつくようにして眠っていた

寒さのせいだろうか、両手で俺のパジャマをしわが寄るほど握りしめ縋り付くように胸に顔を埋めている

ひょっとすると

怖い夢でも見ているのか、あるいは体調がすぐれないのか

まぁ、起こすほどのことでもないだろうとそっと髪を撫でながら様子を見ているうちに眠りにつく前に言われた小言を思い出した

「ねぇ、どうしていつもわたしの髪をほどいちゃうの?」

「どうしてって…」

行為の最中、邪魔にならないように彼女がせっかく結んでいる長い髪を俺が無意識にほどいてしまうのが気になるらしいのだが

緩くウェーブのかかった長く美しい髪に指を差し込れ、乱れさせたい衝動を抑え切れない…などと言ったらどんな顔をされるかわからない

曖昧に言葉を濁しながら、まだ熱の冷めない細い体を毛布で包んでやると

「手で踏まれちゃうと地味に痛いんだから。」

言葉とは裏腹にどこか嬉しそうにつぶやいた彼女を抱きしめ、ふたりで眠りについたはずだった

「良く、眠れたか?」

今日の午後からクリスマスまでの三日間ボクシングジムの合宿に参加するため荷作りをしながらキッチンで朝食の準備をしている彼女にそれとなく聞いてみる

「うん、ぐっすり…どうして?」

不思議そうに返ってきた返事は拍子抜けするほど明るいものだったが

「いや、ここはおまえの部屋と違って寒いから」

事実、隙間風が入ってくるような安アパートな上に暖房器具といえば電気ストーブと小さな炬燵くらいしか無い部屋は暖炉のある彼女の家とは比べ物にならない寒さのはずで

「全然、だってあったかいんだもの…一緒に寝てると。」

昨夜のことを思い出したのか少し照れたような表情でそう言った彼女にこちらまでつられて顔が赤くなりそうだ

「そうだ、あのね…」

「なんだよ?」

「合宿に行ってる間、ここに来てもいい?」




はあ?




continue(次回に続きます)↓
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