『secret halloween 4』
たしかに
なんだかすごく変な感じ
ベッドの端に大人になった彼と並んで座って、クッキーを食べながらこんな風におしゃべりしてるなんて
「今日ね、子供が苦手だって言ってたから」
「俺が?全然覚えてねぇ」
だよね
「まぁ、自分の子は…な。好きとか嫌いとかじゃなくて、特別な存在だから。甥っ子や姪っ子も可愛いっちゃ可愛いし」
そっか
良かったぁ
「それじゃあ今、幸せ?」
「それは、そのうち自分の目で確かめるんだな」
「そっ…」
なんだかとっても嬉しくて、泣きそうになってしまった
「ところで、おまえは今いくつなんだ?」
「高校3年生、です」
「懐かしいな、その制服」
『彼』だけど『彼』じゃない人に肩が触れそうなほどの距離でじっと見つめられたらイケナイことをしているような気分になってしまう
「なんで髪を切っちまったんだろうな、あいつ…こっちの方が似合ってるのに」
彼は独り言のようにそう呟くと
「!」
そっと髪に手を伸ばし、わたしを胸の中に抱き寄せた
「ここでの記憶は消してやるから、そろそろ元の世界に帰れ」
えっ?って口にする間もなくわたしの唇は彼の同じ物で塞がれていた
心臓が止まりそうなほど驚いて思わずぎゅっと目を閉じる
触れるだけの口づけからはすぐに解放されたものの、わたしを抱きしめている腕の力はその強さを増していき
耳元や首筋に熱い息がかかってもう何も考えられなくなり
薄れていく意識の片隅で、優しく囁くような彼の声が聞こえた気がした
『今日のことはふたりだけの秘密だから…な』
「あれっ?」
目を覚ますと地下室の扉の前で
「わたし、なんでこんなとこにいるんだっけ?」
ほんのりと温かいわたしの体からは何故かクッキーの甘い匂いがして
すごく幸せな気持ちに包まれていた
continue(次回に続きます)↓