『cherish 7』
「おいで。」
向かいあって座っていたゴンドラの中で、泣き出したわたしに両手を広げて彼はそう言った
そっと伸ばされた腕に包まれようにして彼の膝の上に座ると指で優しく涙を拭ってくれて
「俺が最初からここに誘えば良かったのに…気を使わせて悪かった。映画もわざと俺が寝そうなやつ選んだんだろ?」
やっぱり分かっちゃったよね
「でも、あの映画を見たかったのはほんとなの。」
「…ならいいけど。」
気がつけばゴンドラはかなり高い場所まで昇っていた
「で、どうする?」
彼が掠れた声で囁いた
「どうする…って?」
「…聞いた俺が馬鹿だった。」
眉間にしわを寄せ困ったような顔をした彼に唇を重ねられたのは、ちょうどゴンドラがてっぺんに来た瞬間だった
「んっ…」
場所が場所だけに触れるだけで終わると思ったキスは、きつく抱きしめられた腕の中でどんどん熱を帯びていき
「待って、もう…」
体の芯が痺れるような感覚に耐え切れなくなり思わず彼の胸に顔を埋めるようにして口づけから逃れると
「自分の意志の弱さに呆れる…っていうか、おまえのせいだぞ。」
「な、何が???」
次の瞬間
もうあと少しで地上に到着するゴンドラの中から、彼に抱きしめられて荷物と一緒にテレポートしていた
彼のアパートの部屋に
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