※今回は再びプロポーズ後のお話になります。




                   『get drunk 3』





えっと



好きにしていいって言った?



いったい何を?



ううん、『何』じゃなくておそらく『彼』をって意味だよね。



どうしよう



こんなに酔ってる人の言うことを真に受けてはいけないんだろうけど。



今夜はもう少しだけわたしに甘えて欲しくって



こんな状態ではきっと『そういうこと』は出来ないってわかっていても、彼のジーンズのボタンを外しかけた。



でも



やっぱり、わたしには無理



いつも彼が与えてくれる甘い時間を思い出して、わたしも同じようにしてあげたいと思ったのだけれど。



その手の知識がわたしには足りなさ過ぎて



素直に「出来ない」と告げると、彼はゆっくりと体を起こした。



「ごめん、みっともないとこ見せて。」



さっきまでと違いしっかりと意思が見える瞳で見つめられ急に恥ずかしくなった。



「ううん、わたしの分まで飲んでくれたんだもん…仕方ないよ。それより大丈夫?」



何とか誤魔化そうとしたけれど、酔いが醒めてきた彼はいつもの調子を取り戻していた。



「そうだな、スパーリングは出来そうにないけどおまえを甘えさせられるくらいには…な。」



!?



わたしが言葉を発する間もなく彼に押し倒されながら唇をキスで塞がれて。



「んっ…」



アルコールの匂いが強く残る口づけに、まるでわたしまで酔っているかのように頭がぼーっとして何も考えられなくなってしまい。



気がつけば生まれたままの姿になった…じゃなくてされたわたしの体は彼の指や唇におかしくなりそうなくらい翻弄されていた。







いくら酔っ払っていたとは言え、少し彼女に甘え過ぎてしまった。



正体をなくした俺の言葉に戸惑いながらも望みに応えようとしてくれた彼女のいじらしさに胸が熱くなり。



酒くさい体のままで悪いとは思ったが、堪え切れずに口づけをしながら彼女の体を押し倒した。



いつもなら反応を見ながら徐々に脱がせていく衣類を一気に剥ぎ取り彼女の弱いところを指と唇で集中して攻め続け、まだ序盤の段階で声をあげそうになる唇を何度もキスで塞ぎながら彼女を追い込んでいった…はずだったが。



彼女の奥深く、温かい場所で締め付けられた途端にいつものように形勢は逆転してしまう。



しがみつくように俺の背中に回された彼女の指先がこれ以上はないというくらいの強さで皮膚に沈み込むのと同時に、頭の中が真っ白になり限界が来た。 



どれくらいの時間が経ったのだろうか。



「…って。」



疲れきってぐっすり眠っている彼女を起こさないようにそっと布団を抜け出して、酒の匂いを消すためにシャワーを浴びていると背中に鋭い痛みを感じた。



鏡越しに確認するとどうやら彼女が残した傷跡らしい。



「…」



ボクシングで背中に引っかき傷を負うことなんてまず有り得ない。



明日からしばらくジムでの着替えは注意しなければいけなくなったと思いながらも顔が綻んでいる自分に混乱した。




どうやらまだ酔いが完全には醒めていないらしい。





fin


  




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