※今回のお話はいつもの高校時代ではなくプロポーズから後のお話になります。
『midnight 1』
聞いてもいいかな
こんな時ダメかな
彼からプロポーズをされて早いもので1ヵ月が過ぎ
と言うことはつまりその…
わたしたちがそういう関係になってからもそれだけの時間が経ち
あの日から、主にわたしが翌日仕事じゃない時は彼のアパートに泊めてもらうようになり
今夜もバイトから帰って来た彼と一緒に夕食を取り、お風呂に入って休もうとしたところで当たり前のように抱きしめられて
でも
ずっと気になっていたから、つい口にしてしまった
「あの、疲れ…ない?」
窓から差し込む月明りしか無くてもはっきり分かるくらい、彼は眉間にしわを寄せ怪訝な表情になった
「まだ疲れるようなことしてねぇんだけど?」
「そうじゃなくて…ううん、そうなんだけど」
なんて言えばいいんだろう
わたしはお休みだからいいのだけれど、彼は明日も朝からジムでのトレーニングやアルバイトがあるわけで
まだまだ数えるほどしか彼に抱かれていないけれど
初めての頃に比べるとお互いに緊張が取れてきたからなのか、かなり時間をかけてお互いの熱を分け合うようになり
最初の頃は時間なんて気にする余裕は無かったのだけれど、前回泊まった時に彼の腕から解放されたのが深夜2時を回っていたのは覚えていて
「早く寝ないと明日…辛くない?」
朝晩はずいぶん涼しくなってきたとは言え
ただでさえ日中も体力を使うトレーニングや仕事をしているのに、夜は夜で彼任せでされるがままのわたしと違いけっこう体力を奪っているような気がしちゃって
「まぁ、多少は…」
彼はわたしの体をゆっくりと布団の上に横たえながら戸惑っている様子で言葉を濁した
彼女の誕生日に彼女の家族の前でプロポーズをするという気絶しそうなほど恥ずかしい思いをした夜
彼女の方から『帰らない』と言ってきたのにも関わらずいざとなると怖じけづいたのかあれこれ質問をしてはぐらかそうとした挙げ句、抱いている最中も『いや』『だめ』『待って』を繰り返すのに手を焼きながらも何とかひとつになることが出来た
それからというもの
親公認で週に2、3度うちに泊まるようになった彼女とは一緒に過ごす時間も増え
最初は緊張と恥ずかしさからガチガチだった彼女も体を重ねる毎に徐々に慣れてきているように感じていた
なのに
不意に投げかけられた彼女の言葉は俺を戸惑わせるには十分過ぎた
「もしかして体調が悪いのか?」
俺の疲れを気にしているのも嘘ではないのだろうが、ほんとは彼女の方が辛いのではないかという考えが浮かんで血の気が引いた
一線を超えてからというもの夜を共にする時は彼女を抱くのが当たり前になってしまっていたが、ひょっとしたら彼女に無理をさせていたのかもしれない
壁の薄い安アパートという環境下で、いつも声や物音を出来るだけ抑えているために分かりづらい彼女の反応ではあったものの
最近は少し余裕が出てきて長い時間をかけて細いのに驚くほど柔らかい体を隅々まで手や唇で愛撫していると、彼女の方から俺を求めるような仕草さえ見られるようになり
完全に溺れてしまっていたのかもしれない
彼女という深く美しい海に
continue(次回に続きます)↓