『first kiss 5』




学校でのクラスメートとのくだらないやり取りから始まった(というかわたしが勝手始めてしまった)ファーストキスの迷路に迷い込んだ挙げ句、忙しい彼をこんな時間に訪ねさせるほど心配させてしまった自分の馬鹿さ加減にうんざりして


覚悟を決めてさっき自分の中で振り返りながら整理した事実を恐る恐る話し始めた


彼は部屋の壁にもたれ掛かり黙ってわたしの話を聞いてくれた


わたしが話し終わっても彼は微動だにせず、顔色を変えることもなく腕を組んだまま部屋の一点をじっと見つめている



どれくらいの時間が経ったのだろうか



沈黙に耐えられなくなったわたしが口火を切った


「怒ってる?それとも呆れてる?」


おそらく、その両方であろう事は想像に難くないのだけれど


彼は小さなため息をついてようやくわたしの方を向いてくれた


「べつに、どっちでもねぇよ」


「ほんとに?」


「だいたいそんな事じゃねぇかと想像はついてたし…」


「ごめんなさい、くだらない事で変な心配させちゃって。待ってて、今お茶でも持って来るから」


そう言って部屋から出ようとしたわたしの腕を掴んでベッドに座らせ、彼は部屋の明かりを消した


「くだらない事…じゃねぇだろう」






continue(次回に続きます)↓