『study』





高校生の本分はお勉強



そんな事は百も承知なんだけど、困った事にわたしも彼も勉強は大の苦手で


ただでさえ2年遅れて高校に入学したのに留年なんてしてる場合じゃない


定期テストが目前に迫った5月の半ば


一緒に試験勉強をしたいとお願いすると、ちょっと考えてからOKしてくれた彼の


「お互いに頭悪いのにどうやって教え合うんだよ。」


というぼやきは聞こえないふりをして、迎えた次の日曜日


初夏の気持ちの良い風が入るわたしの部屋で、ノートと教科書を広げて勉強を始めたまでは良かったのだけれど


10分もしないうちにふたりで頭を抱える羽目になった

 

「ねえ、この問題分かる?」


「…無理。」


こんな不毛なやり取りが続き、1時間もしないうちにアイスティーを飲んで休憩することに


この分では赤点じゃなければ上出来かも


「ねぇ、もしもだけど…」


「なんだよ?」


「わたし達に子供が生まれたら、ものすご〜く勉強が出来ない子になるのかなぁ。」


「はあ!?」


わたしの何気ない一言でアイスティーを飲んでいた彼がおもいっきりむせて咳込んでいる


「ご、ごめんなさい。あのね違うの、深い意味はなくってあの…えっと」


彼の背中をさすりながら恥ずかしくなって必死で言い訳をしたけど上手くいかず


「そ、そろそろ勉強しようかな…」


焦って手に取ったのは保健の教科書で、しかも開いたページがよりによって妊娠と出産の章


「おまえ、わざとやってるのか?」


真っ赤になった彼に後ろから抱きしめられて


「ち、ちがいます!」


慌てて否定したものの時すでに遅し


「実技指導してやろうか?」


あっという間に押し倒されて、優しく唇を重ねられていた




結局、この日の勉強は頭に入らず


ふたりで仲良く追試験を受ける事になってしまった





fin