小さなこの世界さえ
変えることができない私たち…
指示されるがまま、
私たちは歩き続けてきた。

時に疑問を抱きながら、
時に大きな傷を心に負っても、
指示通りに行動してきた…

いつしか、
考えることを辞め、
指示待ち人間として生きることを
誓ったのかもしれない。
日頃から大人の顔色を伺い、
大人の期待に応えようとした結果、
私たちは、
私たちの人生を大人に捧げたのだ。

期待されることが誇りだった。
だけど、
期待に応えられるうちは華で、
期待値が上がり難題にぶち当たった時、
想像以上の地獄が私たちを待っていた。

そして私たちは、
大人の言いなりになることを辞めた。

彼女が居なくなった今、
私たちは、もう一度あの人と
真正面から向き合うことを決めた。


いつものように体育館に向かった。
だけど、1つだけいつもと違うのは、
練習着を持っていないこと。
私たちの意志は固かった。

体育館であの人を待ち、
「彼女が戻ってくるまで練習に出ない」と
公言した。

流石にあの人も困るだろうと
私たちは予想していた。

だけど、
あの人は驚いた素振りも見せず、
淡々と私たちを脅し始めた。

心を抉る言葉の羅列が
私たちの脳裏にこびり付く。

あの人は言った、
ボイコットをするのなら、
「お前はレギュラーから外す」
「お前は登録メンバーから外す」

究極の2択とはこう言ったことなのか…
私たちは一瞬、怯んでしまった。

なぜなら、
「バレーボールは私たちの人生そのもの」
そして、
「この世界で頑張ることは私たちの誇り」

だけど、あの人は
私たちからすべてを奪おうとしている。

急に怖くなった…

人生初めての究極の2択は、
究極にも関わらずものの数秒で、
答えに辿り着いた。

そして、
また私たちは、
大人の望み通りに言動する
都合の良いバレーボーラーとして、
再スタートラインに勝手に立たされたのだ。

to be continued