あの人との日々は、

最低で…最低で…最低で…

最高な…日々であった。


いまだ、

中1の暗黒期から抜け出せない私たち。

「どうしても勝てない」

焦りと重圧はさらに私たちを苦しめる。


「4強」

東京都には不動の4強が存在する。

バレー好きはきっとご存知であろう。

何処かで耳にしたことがある中学校名に。

その中の1校が私たちの学校。

不動と呼ばれる存在。

不動ゆえに負けてはいけない。

その位置がどんどん危うくなっていく。


あの人も私たちも、

そして、この世界に関わる全ての人が

この状況に焦りを感じていた。

都大会、関東大会、全中、

とんとん拍子には、

駒を進めることができなくなっていた。


この1年ちょっとで、

私たちの世界は、変化に変化を重ね

状況を好転させようとしてきた。


「このままでは勝てない」

誰もが薄々感じていた事実に、

大人たちは勝手に大きな変革をもたらした。

私たちの気持ちはそっちのけで、

物事は勝手に進んでいく。


変化に応じることは

半強制で出来たとしても、

大人の気持ちに応えることは、

容易ではなかった。


日に日に増していく

あの人との亀裂。

信頼関係はもう既にボロボロ。

強引で傲慢なあの人の指導に、

私たちは、

バレーの楽しさを忘れていく。


この世界のバレーは、

まさに、「やらされるバレー」

私たちに求められるのは、

言われたことをこなす受動的な人間。

そこに私たちの意志は無い世界。


「勝つために作られた人間サイボーグ」

いや、現代的に言えば、

「勝つために作られたAI」

それが、

この世界でバレーをする宿命。

今も蔓延るバレー界の闇。

勝利至上主義、根性論、完全服従。

平成にもあった、

下手したら令和にもある、昭和の指導。


そんな世界で生きる私たちにも、

抑えることのできない自我がある。

ここから徐々に

私たちの自我が爆発していく。

コップの水が溢れ出す瞬間のように。


この世界の裏側は、

私たちの苦しみが

体育館いっぱいに充満している。

息がしづらく、とても生きづらい世界。


だから、

新鮮な空気を追い求め、

私たちは日々闘っている。

少しでも自身を肯定できるように…

少しでもバレーを好きでいられるように…


to be continued