「O先生と共に新たな歴史を作ろう」

新たな門出に、

部員全員の心は一致していると思っていた。


きっと、

前向きな気持ちで、

高い向上心を持って、

高い目標に向かって、

みんなで切磋琢磨できるものだと。


当たり前だが、

私たちは「日本一になりたい」から、

この世界を選んだ。

そこにプラスαして、

名実を兼ね備えている同志が集結した。

これが、この世界の成り立ちである。


世間のイメージは決まって

「この世界に入れる彼女らは、

一流の人間なんだろうな」

「バレー好きで、

バレーに人生かけてるんだろうな」


この世界の人間は、

選ばれし者=別世界の人 として、

心・技・体全てを兼ね備えている人間だと

思い込まれている気がする。

私もこの世界に入るまでは、

世間と同じイメージを持っていた。


だけど、

この世界の住人になって

気づいたことがある。


どんなにバレーが好きな人間だって、

過酷な練習が連日続いたら、

やる気が出ない日があって当然。

又、手を抜いてしまうことだってある。


どんなに才能がある人間だって、

手を抜いた練習をすればするほど、

下手になるし、結果がついて来なくなる。


誠実な態度でバレーに

取り組んでいる人間だって、

時に周りの空気に流されて、

不誠実な態度をとってしまうことだってある。


バレーの技術は一流かもしれないが、

私たちは、一流の人間ではない。


人間はみんな、

できるなら、辛いことはしたくないし、

楽して良い思いができるならそうしたい。


人間誰しも、弱さを兼ね備えている。

私たちも又、弱さを兼ね備えている。

人間の弱い部分をこの世界で

心が抉られるほど痛感した。


何かを得るためには、

何かを犠牲にしなくてはいけないのか。


私たちは、

理想の中で生き過ぎたのかもしれない。

私たちは、

綺麗事だけでは生きていかないことに

気づくのが遅過ぎたのかもしれない。


だから、

現実を受け止めることに

かなりの時間を要してしまった。


人間の弱さ・脆さ・愚かさを

素直に受け止めることができなかった…。


to be continued