episode 3


「挫折の先には栄光がある」

それとも、

「栄光の先には挫折がある」


誰もが挫折に、

押し潰されそうになった経験があるだろう。


私たちも同じ、

少しバレーが上手なだけ。

たくさん苦しみ、もがき、

傷つき、絶望も味わってきた。


常に頭の片隅には、

この場所から離れたい気持ちが湧き上がり、

何十回何百回思い続けては

やっとの思いで踏み止まる。

これの繰り返し。


正直、この世界に居る限り

苦しくない日はないのではないか。


いつの日か、

ただただバレーが上手になりたい少女は、

自身のなりたい姿になるために始めた

バレーを大嫌いになってしまう。

「バレーさえしていなければ、

こんな苦しい思いをすることはなかった」


身長が得られなかった天才は、

小学生の頃までは、自身の跳躍力で

ネットの高さをものともせず、

エースとして華々しい功績を残した。

しかし、中高に上がるにつれ、

ネットの高さに阻まれ、

高身長の選手に張り合えなくなった天才。


世界が広がった天才は、

ジュニアチームでは常に先頭を走っていた。

常にコートで輝いていたあの頃。

中学入学後、

上には上があることを突きつけられる。

レギュラー常連だった天才はベンチにまわる。

そして、ベンチから降格した後は、

ギャラリーで応援することになる。

輝く舞台さえも取り上げられた天才。


逆も然りである。


強豪校のレギュラーを獲得した天才は、

技術の高い選手が五万といる世界で

小さなミスをしてしまった。

使えないと思われた瞬間、

容赦なくレギュラーから下げられた。


常に人と比較され、

自身の立ち位置を突きつけられる。


レギュラーになるには、

バレースキルの高さ、

そして、

指導者のエゴが絡み合っている。


to be continued