講師

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今日は採譜研修の講師でした。

採譜の講師はここ4〜5年やらせて頂いているのですが、今までになく「もっと色々と伝えられることがあったんじゃないかな〜」というような思いが拭えず、悶々としていて、その思いをツラツラと認めようかと思います。

過去2年くらい、日々を、麻雀教室の講師として過ごして来ました。
年輩の方々に「教える」というのは烏滸がましいですが、ゼロからでも麻雀を楽しんで頂けるよう、僕がアドバイス出来ることを全力でお伝えしてきたつもりです。
微力ながらも僕の言葉がきっかけで、麻雀の知識を増やし、麻雀の楽しさを知り、喜んでくれる生徒さんが好きだし、何よりもその笑顔が見たくて続けてきました。

ですが、今年に入り、一般企業への勤めを始めることになり、講師としての時間が大幅に減りました。
そんな中で今日を迎え、今までとは違った意識が芽生えたことを感じました。

講師から距離をとったことがきっかけだったのかは分かりませんが、今までの自分は、教える事の大切さを理解しきれていなかった、もっと言うと、まだまだ未熟だったのかなと思ってしまったのです。
こと採譜研修に関して昨年までの自分は、(採譜に関しては)それなりの経験も積んで来たという自信(驕り?)もあったし、その経験を伝えれば良いだろうと、ただそれだけを意識していました。
もちろん全力で臨んでいますから、終わった後はやり切った気持ちでいました。

でも今年は、違いました。

もっと良い研修会にできたんじゃないのか?という思いが頭から離れないのです。
こう言ってしまうと誤解が生じそうなので補足すると、今日の為に事務局の方々は万全の事前準備をしてくれていました。
講師陣も、経験豊かな面子です。
その中で僕は、自分の役割や目標を明確に持って行動するべきだったなと反省している訳です。
ゴールデンウィークの最中、短くない時間を空けてまで受けてくれた新人の子達が、どこまで理解してくれたのかな?採譜って麻雀プロとして必要なスキルだし、出来ることが雀力向上にも繋がるし、そういうところまで分かってくれたのかな?と。

改めてここで注意書きさせて頂くと、各講師陣はしっかりと指導していたし、研修会としては充分に価値あるものだったと思っています。
ここに書いているのはあくまで僕自身の事であり、僕自身がもっとより良い伝え方が出来たんじゃないかという伝える側としての反省です。

結局、何が言いたいかと言うと、協会の研修って凄いなと思われたい訳です。
受けてくれる子達にも、参加して良かったと言って帰ってもらいたいのです。
そして、参加者全員に採譜の楽しさや重要性を知ってもらって、麻雀プロの奥深さや知識、経験を積むきっかけの場を提供したいと凄く思ったのです。
今でこそネットで自動的に牌譜が残り、配信が増えて採譜の機会も減ったけど、競技選手として活動する上では、出来て得することしかないものだと思っています。
僕が、採譜者だからこそ経験できた素晴らしい出来事の数々を、これからの子達にも経験して欲しい。そんな思いでいるのです。

この世界に入って8年。
タイトルなんてものは無いけれど、この世界で経験できたこと、先輩達が教えてくれたことを無駄にしない為にも、僕なんかでもお伝え出来ることは、目の前で聞いてくれている人がいる以上は、しっかりとお伝えさせて頂かなくてはいけないなと思いました。

今日、研修に参加してくれた子達には感謝しています。
僕に至っては拙い部分もあっただろうけど、今日学んだことは大切にして欲しいと思います。

みんなの活躍、期待しています。

桜 Ⅱ

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プロジェクトが始まる数日前に、リーダーのみのミーティングで指導方針が決められた。
その時に決められた指導法が“若い子が多いから馴れ合いにならぬよう日々、厳しく接する”というものだった。

プロジェクト開始から1ヶ月も経たぬ頃、部長に昼食に呼ばれた。

「お前達のチームの雰囲気はどうだ?」

「かなりピリッとしてます」

「なぜ?」

「厳しくやろうという結論になったので」

「馬鹿野郎。何人も辞めたいって言い出してるぞ。リーダー全員がそんなんで、若い奴らが付いてくる訳ないだろ」

確かにそうだった。
見回してみると、自分の部下だけじゃなく、他所の若い子達も皆、上司の顔色を伺い、今にも怒られるのではないかとビクビクしているようだった。

ぎくしゃくした中で仕事をしたところで成果は得られない。
良い仕事なんてできる訳がないのだ。
僕は素直に部下に頭を下げた。

「申し訳なかった。今までとてもやり辛かったと思う。これからは、皆が仕事を楽しめるようこちらも努力する。」

そして、僕のチームだけが勝手に、スローガンを立てた。

“常に笑顔と、感謝の心を忘れないこと”

ありきたりかも知れない。
だけど、僕はこれを、毎日言い続けた。
最初は、あれだけ厳しかったリーダー達が急に態度を軟化させた事に課員達は戸惑っていたが、徐々に距離も縮まり、それからひと月もする頃にはどのチームもかなりチームワークが良くなっていた。

プロジェクト開始から3ヶ月が過ぎ、新年を迎えると、本格的に忙しさが増した。
帰宅が深夜に及ぶこともあった。
終電で帰宅し、次の日にはちゃんと9時前には出社する日々。
20代前半の女の子が、休日は愚か、化粧する時間さえも削っていた。
それでも、僕のチームの子達は笑顔を絶やさなかった。
みんなが頑張っているのに自分だけが弱音を吐くわけにはいかないと自身を奮い立たせていた。


ある日の朝礼の時だった。
疲れの色が隠しきれていない課員を前に僕は、申し訳ない気持ちで一杯になった。

すると、突然1人のメンバーが

「藤井さんがそんな顔しちゃダメですよ!チーム藤井は笑顔を忘れちゃダメなんですよ?

始まった頃は本当に辞めたいと思ったけど、今となっては、私達はチーム藤井のメンバーで本当に良かったと思ってます!他のチームだったらとっくに辞めてました。あと少しの辛抱ですし、予算達成すればお給料も一杯貰えるし、みんなで旅行でも行きましょう!ね!」

僕は心が震えた。
大切なことを思い出させてくれた。
だから、笑顔で返した。

「ありがとう」



そして、ついに激動の半年が過ぎて行った。
残念ながらプロジェクト全体での予算は達成出来なかった。
それでも、3つのチームの中で予算を達成したのは、僕のチームだけだった。しかも、プロジェクト満了の1ヶ月も前に。
更に、最終月に至っては、会社全体で100人以上いる営業の中で、個人成績の1位、2位、10位が僕のチームのメンバーだった。
新卒の女の子達が、賃貸仲介が一番儲かる3月で、百戦錬磨の営業マン達に勝ったのだ。

僕は、自分の事のように喜んだ。
この子達が身も心も削った半年間が報われた気がした。

プロジェクトチームが解散する3月31日、事務所にピザを頼み、全員で細やかな打ち上げを開いた。
体の底に蓄積された疲労すらも心地良く感じる時間だった。

そして突然、僕のチームの子が口を開いた。

「私、今日が最終出社です。」

場の空気が止まった。
僕のチームと、統括責任者しか事前に聞いていなかったからだ。
他チームのメンバーは、寝耳に水だった。
それもそのはず。
今日を以って辞める子が、最終月に全社で1位に輝いた子だったのだから。

1ヶ月前、僕は本人からこんなことを言われた。

「3月一杯で辞めようと思います。私も、このチームで本当に良かったです。このチームで半年間闘えて自信が持てました。自分が本当にやりたい事に挑戦しようって思えたんです!
見てて下さい!最後の1ヶ月も、全力でやります!」

本当は上司として引き留めたい気持ちもあったのだが、背中を押す事にした。
辞意を伝えた時の彼女が、笑顔だったから。


殆どの人間が当然のように別れを惜しんでいたが、何れにしてもこの部署には明日から、僕を含め3人しか残らない。
他の人間は皆、違う部署へ移る。
どの道、それぞれの場所でまた新たな闘いが始まるのだ。

やっぱり、憎まれたり嫌われたりしながら姿を消すよりも、こうして最後の最後まで全力で、大輪の花を咲かせ、周りに認められながら去っていく方が格好いい。



打ち上げもそろそろ終わろうとしてた頃、誰かが不意に言った。

「せっかくだから、目黒川行きません?」

そう。事務所は目黒川の目と鼻の先にある。
時計の針はもう、新しい月を迎えようとしている頃だ。外はまだ冷える。
それでも木々達は、僕らを温かく迎えてくれた。



満開の桜で______


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麻雀とは一切関係無いけど、
昔のことを思い出したので、思い出話を少しだけ…

今日、僕は、会社の上司(女性)に叱責した。
理由は、その方は今月一杯で会社を去るのだが、その人の最近の勤務態度に僕は、不満を募らせていたからだ。

僕のいる部署は、担当役員と女性(30〜40代)が4名と、僕だ。
この構図が非常に厄介で、担当役員は多忙を極めており、離席していることがとても多い。
そして、この役員が離席している時は決まって、女性たちの雑談に花が咲く。
僕はその輪には一切加わらず、黙々と事務仕事をこなしている。
今に始まった事ではないため、集中を阻害される環境に僕は、相当のストレスを抱えていた。

その場で注意すべきなのかも知れないが、社歴が一番浅いという無駄な遠慮と、
その後に訪れるであろう重苦しく流れる空気を想像すると、
今にも飛び出しそうな叱咤を悉く飲み込まざるを得なかった。

そんな日常で、件の上司は、僕のこんな思いを知ってか知らずか、誰かが始めた雑談の援護射撃役を日々、買って出ていた。

そして今日、その上司との業務の引き継ぎが行われ、一通りの話を聞き終えた頃…

僕「貴方から引き継ぐのは、全部でこれだけですか?」

上司「そうです。」

僕「こんなに少ないんですか?そしたら、貴方は、普段、特に日中は何の業務をしてるんですか?」

上司「…。」

僕「僕が、どれだけの業務量を抱えてるか知ってますよね?同じ課員で、なぜこんなにも差があるのでしょう?」

上司「すみません…。辞めることが決まって、どうでも良くなってるところがあったように思います。」

僕「貴方の人生なので辞めるのは構いません。だけど、去り方は大事だと思いますよ。
残る人間に、去って良かったと思われるか、
惜しまれつつ去って行くのかは、大きく違いますよね?」

と、まあ、こんな感じで僕は、我慢の限界を超えた想いをぶつけてしまった。
溜飲が下がると同時に、言わなくても良かったのかな…と、
些かの後悔も感じながら帰路に就いた。

そんな想いが去来する中、ふと昔の記憶が蘇ってきた。

それは僕が、不動産の賃貸仲介の会社に勤めていた時のことだ。


3年ほど勤めたある秋頃、半年間限定で立ち上がったプロジェクトの、
3つあるチームの内の1つを任された。
そして、僕の下に就いたのは、新卒の女の子3人だった。
上司から伝えられた時は、驚愕した。
他のチームはベテランから中堅、新人と戦力のバランスが取れているのに対し、
中堅のリーダーに新卒3人なんてチームは無論、僕のところだけだった。
しかも、女の子。

半年前まで学生だった子達。
これから始まるビッグプロジェクトは、時にハードで、帰宅が深夜に
及ぶ事もある。
業務内容は不動産賃貸の営業だが、町場の仲介店とは訳が違う。

男に対してなら多少の無理も許容されるかも知れないが、
女性ともなると、どこまで求めて良いのやら。
それに、本当に付いてこれるのだろうか…
半年後まで3人とも残ってくれているのだろうか…

そんな心配だけを胸に、そのプロジェクトはついに走り始めた・・・