この瞬間だけでも | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

今すぐ世界を止めて


この未来が止められるのなら

この未来が変化出来るのなら



世界を 時空を止めて











「・・・・・・ん・・・さん・・・・咲弥さん?」


微睡みの中、聞こえた声に反応するかのように

瞼が痙攣し、ゆっくりと開き瞳が写したのは

心配そうに自分の顔を覗き込む望美と八葉の姿。


「・・・あ・・・れ・・・」


「喋るのは得策ではない」


いつもよりも厳しい口調で、弁慶が告げると

身体を起こし冷たい水を咲弥の口に注ぎ込む。


コクン・・と喉が動く。

喉から冷たい感触が身体に染み込み

おそらく自分の身体が水を欲してしたのがわかる。


「・・・・・大丈夫ですか?」


小さく頷くと、ホッとしたような望美の姿に

思わず笑みが溢れた。


「・・・・無茶し過ぎですよ」


「べん・・け・・・い・・・」


自分を支えている彼の瞳は、いつもと同じだが

何処か悲しみの色を帯びていて・・・


「とにかく、しばらく休もう・・」


「そうだな・・咲弥がこの様子なら」


「え・・・大丈・・」


「大丈夫と言ったら・・怒りますよ」


ぴしゃりと告げる弁慶の言葉に思わず口を閉じる。


「咲弥・・ここはコイツの言うとおりにしなよ」


ヒノエが頭を撫でながら咲弥に声を掛ける。


「・・・・いくら、咲弥が姫軍師でもさ・・限界もあるだろう・・」


「・・・・・・・・・わかった・・・」


「いいね・・・その顔も」


「ヒノエ」


「はいはい・・・ったく・・」


スッ・・と顔を近づけたヒノエに

弁慶が自分の方へ咲弥を抱き寄せ牽制する姿に

ヒノエは肩をすくめ、身体を起こすと

望美たちの輪の中へ戻っていく。


「弁慶・・・私・・」


「力があるのは嬉しいんですよ」


けれど・・と言葉を繋げる。


「君はいつも一人で無茶をする・・・・その度に僕がどんな想いをしているのか

自覚をしてください」


「ごめ・・ん・・ね・・」


「本当に・・・」


そう言って、優しく抱きしめる。









「君をずっと閉じ込められるといいのに・・」