第六章 第拾八話 夕闇が隠したもの(18) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です


「あんたが私の幸せを全部奪ったんだッ?!」




遠い記憶、遠い世界で告げた言葉が

今、時空を越えて蘇る。









「義姉さん・・・って・・」


咲弥の口からでた言葉に望美は

驚き咲弥へ視線を向ける。



「彼女は、私の父と浮気相手との間に出来た人」


「・・・・・その義姉が何故この世界へ?」


「『翔』も一緒に連れてきたのね」


咲弥の口から初めて出た名前に彰子の顔が

ぴくりと動く。


「どういう事ですか?」


「おしゃべりの時間はここまでよ、裏切り者を始末しなければ」


咲弥を庇うかのように立った弁慶に

彰子はにやりと笑みを零す。



「変わらないね・・・。何一つ」


「あなたもよ・・。咲弥」


咲弥の言葉に、口角を上げて彰子は笑みを落とした。














***



「彰子さんと咲弥さんが、姉妹・・・・」


「神子様、今からでもおそくありませんよ」


ぽつりと呟いた望美へ視線を向けた彰子は

柔らかな微笑みを零し言葉をかける。


「平家と一緒にいるから『裏切り者』なんですよ

神子様と八葉がそこの二人を処分してくだされば

私が鎌倉殿に便宜を図りますよ」


「面白い事を言いますね、鎌倉殿がそれを許すとは思えません」


「弁慶殿、あなたの力も鎌倉殿は気にっていますよ」


「それは光栄です」


にこやかに微笑みながら返事を返す弁慶に

彰子も同じように笑顔で返す。


「けれど、僕は行きませんよ」


きっぱりと言い放ち彰子を見つめた瞳は

ひどく冷えた瞳だった。


「・・・それは、彼女がいるからかしら?」


「いいえ」


間髪入れずに返事を返した弁慶に

咲弥はツキン・・と胸の痛みを覚えた。

それの痛みを誰にも知られたくなくて

表情を変える事もできず、黙って二人の会話に耳を傾ける。


そんな咲弥の表情を見ながら

彰子は口角を上げて冷ややかな瞳を見せたが


人の不幸を笑う人とは一緒に居たくないだけですよ


次に弁慶の発した言葉を聞いた瞬間

彰子の顔は歪み唇をキツく噛み締めた。