「俺・・・」
「何だよ」
気がついたらもう遅い――
「お兄ちゃん、勉強を教えて?」
そう言った咲弥。
少し席を外し、戻ってきたら
ベッドにもたれ眠っている咲弥の姿があった。
「・・・・仮にも男の部屋なんだけどな・・」
苦笑し、彼女を自分のベッドへ寝かせるため
抱き上げる。
鼻に掠めた甘い香り。
横たえると、艶やかな桜色の唇に
自然と目にいった。
(触れたい・・・)
頭を掠めた感情。
「男の部屋で無防備に眠るなよ」
言い訳のような言葉を吐きながら
彼女の唇に自分の唇を重ねる。
初めて触れた唇は柔らかくて甘く感じた。
そっと触れるだけのキスでは足りなくなって。
右手で彼女の頬に触れ
指で唇を少し開かせると
そのまま今度は舌を差し込む。
「ふ・・・っ・・んん・・」
苦しいのか、少し漏れた声に
身体がゾクッと震える。
しかし、それでも起きない
咲弥の舌を自分の舌で絡める。
部屋に響くのは、ピチャリと卑猥な音と
濃厚な空気。
(やばい・・・止まらない・・・)
角度を変えながらキスをし
彼女の服の上から胸に触れる。
「・・・あっ・・・・」
「っ!」
漏れた咲弥の声に
我に返り、彼女と距離をとる。
「僕は・・・何を・・・・」
口を手で押さえ、咲弥と距離をとり
その場に座り込む。
そっと咲弥を盗み見ると
少し眉根を寄せたが、起きることなく
寝息を立てている。
「マズイ・・・・」
僕は今、何を思った?
何を感じた?
今、この場に居たくなくて
部屋から出ると、深いため息を吐いた。
何を考えている
僕は彼女を『幼馴染』として見ていたのではないのか?
それなのに・・・・・
思い出すのは
彼女の柔らかな唇の感触と女性特有の柔らな身体。
本能で彼女を求めた。
今まで付き合った女には感じなかった欲情というもの。
「この感情を知っても・・・僕は・・・・」
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あとがき
あと1話くらいで終わる予定です。
