泥まみれの毎日だけど
今更 悩んだりはしない
呆れるほど不器用だけど
心に誓った夢がある
果てない空
「空を見上げると思い出すの」
微かに聞こえる声。
その声を聴くたびに、胸が痛みを覚える。
それが何なのか?
訊ねられても分らない。
同時に聞こえるのは
聴いた事のない紡ぐ音と声
積み重ねたいいわけより
ありのままを信じてみよう
嘘だらけの幸せより
素顔のまま微笑んでいよう
「ありがとう、私も好きよ・・・翔・・」
「翔・・・あのね・・・」
聴こえる音と同時に
頭を過ぎる優しい声と温もり
遠い記憶に置き忘れた
あれは―――
「――――どうしたの?」
「いえ・・・」
彰子は、ぼんやりと空を見上げている翔へ
声をかけたが、翔は短く返事を返し
そのまま空を見上げたまま。
果てない空へがそこにあるって
今 確かな声が聞こえる
飛べない自分を変えてみようか
生み出してみようか
見えないものって何もないって
その確かな歌が聞こえる
いつだってもう一度立ち上がろう
力強く
「ねえ?翔・・・」
「翔」
彰子の声と重なる声
そして・・・
「咲弥・・」
「翔?」
小さく呟いた言葉。
その言葉に、彰子は眉根を寄せた。
「翔、私を見るのよ」
「―― 咲・・・・弥・・・・俺・・・は・・」
「翔!」
苛立ちながら、肩を掴み
視線を自分へ合わせるとそっと翔の耳元へ唇を寄せる。
「俺・・・は・・・・」
ドサリ・・と倒れこむ翔を
彰子は抱きとめながらそっと抱きしめる。
「なんで・・・・」
呟いた瞬間、遠くに見える
景色に言葉をなくした。
「なん・・・・・」
見える景色
あれは
見えないものは何も無いって
その確かな歌が聞こえる
消えない思いがここにあるんだ
いつだってもう一度立ち上がろう
彰子の耳にも聞こえる
あの世界の音
自分の世界
愛しい世界からの誘いの音
思い出させる音
けれど―――
「この世界に、この音は必要ないの」
今の彰子には
その世界も音も忌々しくて
涙の痕が乾いたら また呼びかけるから
答えてよ まだ見ぬ明日へ
一人じゃないと気づいたんだ
輝くあの扉
共に目指そう
「必要などないのよ!!」
蜃気楼の奥に見える世界を
睨みつけながら叫んだ。
飛べない自分を変えていこうか?
踏み出して何度でもやり直そう
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あとがき
溜まっていた、リクエスト「遙かなる時空の中で3」の
「彰子さんと翔さんの切ないお話を嵐の『果てない空』を
イメージしながら」と書かれていたので
必死にこの曲を聴きながら書いてみました。
果たして歌に合っているのか?
謎です。(;´▽`A``
ファンの方には申し訳ないです。
音楽のイメージとお話を書くのは意外に難しいです。